たけるん掲示板

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蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2014/03/03 (Mon) 06:33:00

東方封眠録なんてもう忘れた、、、

もうあらすじだけでいいや

竹林の中を、ぶらり散歩していた妹紅
悲鳴を聞き不安が心の中を埋める
悲鳴が聞こえた方へ走ってみると
見たこともない一軒家、
中には白いうごめく物体と、悲鳴を上げたであろう人物
妹紅は物体に触るとそれが毛布だということに気づいた
毛布を取ると中から青年が、眠たそうに妹紅のことを
ババアと一蹴する、
見たこともない人間に、自分の名前がバレていた
とにかく気になる妹紅は実力行使で無理やり吐かせることに

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2014/03/03 (Mon) 06:33:49

それより、このアイコンの咲夜さんかわいいな

Re: 蜜柑の小説 - たけるん URL

2014/03/03 (Mon) 17:36:38

ありがとうございます(笑)

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2014/07/03 (Thu) 07:09:45

えーはい
休み時間とかに下書きしております
一話分たまったら公開、と
ではでは

東方黒屋録 第一話 黒

俺はある国の兵士として戦っていた。
忠誠を誓い必死にだ、ただある日俺らの所属している隊に特攻が言い渡された、生きて帰ってこれる可能性は5%未満、俺たちは作戦の前夜死を覚悟した、俺たちの行動により国が勝つのであれば、と俺たちは無事に作戦を遂行した。
つまり、死んだ。死んだはずだった

なのに、目を開けるとここ

「幻想郷」にいた、ここでは黒と名乗っている
未だに残っているとは思わなかったが寺子屋の先生に拾われ
ここの事をいろいろと聞かせてもらった
最初のころは戸惑うこともあったが

今では

カランコロン

「ちょっといいかしら?」

黒「いいですよ」
 「水まきを手伝ってほしいのだけれど」
黒「わかりました、お金は仕事の度合い、つまりその場で決めさせていただきます。時間はいつごろが?」
 「そうね明日の午前十時じゃあダメかしら?」
黒「では明日の十時、お伺いいたします」
 「あら、そう?太陽の畑よ。時間厳守ね」

カランコロン

とこんな風に、何でも屋、なるものをやっている
退屈なんだ、ここは。これといったデカイことがない
言ってしまえば暇つぶしなんだ。
まぁ、それだけでやってるわけじゃないんだが

………そろそろ時間か

店を出て、看板の文字を「CLOSE」に変える

博麗神社

ここにきてかれこれ七、八年は経つ。
それでも俺の体の老化は一切進んでいない
まるで、眠っているようだ。
先生にきくところ、俺は「神隠し」と呼ばれる
妖怪になっていて、色々なものを隠す程度の能力
だったかな?まぁ詳しいことは覚えていない。
死んだときに成仏できなかったみたいだ
まぁ、当たり前か、殺しを生業としてきたんだ
浮遊霊になってもおかしくはない
後、神隠しだからと言って子供をさらったりなどしていない

今、お世話になった人のところn ゴフッ

「おっ!久しぶり~」ドゴォン

か、軽く十メーターは飛んだぞ

黒「いくら死なないからって手加減くらいしてくれ、紗江」
紗「あはは、めんごめんご」

こいつは博麗の巫女、黒髪がとても似合う女性だ
ただ、格闘に関しては右に出る者はいないという
CQCというものを使ってるらしいが…
まぁ、本人が気さくなので俺も人里の人たちも
妖怪もあんまり気にしてないらしい

黒「紫に呼ばれて来たんだが」
紗「紫なら奥のふとんでねてるわ」

黒「紫?」
スースーもぉーれいむにゃむにゃ

ドォン、鉄骨を落とす

紫「危ないわねぇ」
黒「油断も隙もねぇな、で仕事は?」
紫「…また殺しの依頼よ」

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2014/08/24 (Sun) 12:19:37

小説交流の場所でああああさんが言ってたこと、
自分にも当てはまる気がするな〜、と
少しビクビクしていつも通りに書く

東方黒屋録 第二話 光と影

黒「…わかった、標的は?」
紫「この人物よ、私が進めてる計画に邪魔なの、この人、頑なに妖怪を人里にいれようとしないのよ、それに、明日その事について会合を開くらしいの、その前、つまり今日、やって頂戴」
黒「了解した」
紫「…ごめんなさいね、あなたにばかりこんな仕事を押し付けて」
黒「いいんだ、助けてもらった身だ。恩を返すのは真っ当の事、それに、その計画は綺麗事を並べてる余裕なんてないんだろう?」
紫「……」
黒「…紗江の手は綺麗じゃないといけないんだ、妖怪退治は殺すわけじゃない、人殺しなんて汚れ役は、元軍人の俺の役目だ、あんたもそう思うから俺に頼んでるだろ?」
紫「……ありがとう…」
黒「言ったろう、恩を返すのは真っ当だって」
紫「…えぇ、そうね」

あの頃の事を今も覚えててくれてるとはね、彼は、こんなに強い意志をもってるのに私が弱気だとダメね
それにしてもあの子がここまで彼に影響を与えるとは……

と、彼女の脳裏に、雨の中で死にかけでありながらもその目に生への執着心を宿らせた青年の顔が浮かぶ
彼女は少し考え込んだ後、黒の顔をしっかりとした目で見た

紫「……気をつけて、こいつは、最近、用心棒を雇ってるみたいよ、」
黒「わかった、ありがとう、じゃあ、家に帰るよ」

彼女は何も言わず見送った

紗「黒〜、紫と何話してたの?」
黒「また、あれ買って来いとか、何して来いとかだよ」
紗「そう?いつも通りね、ならよかったわ」
黒「じゃあな、また来るよ」
紗「うん、じゃあね〜」

紗江は手を振り見送った、黒の姿が見えなくなると

紗「何だか避けられてる気がするなぁ……」



Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2014/12/24 (Wed) 21:52:25

東方黒屋録 第三話 夜

黒「よっこらせっと」
黒は久しぶりの仕事に埃をかぶっていた黒色のしごとふくを棚から出し、埃を払う
黒「ゲホッ!ゲホッ!、ぁ〜鼻が、埃で、ふぁ、ハクション!」

独り言が多い悲しい青年です

黒「ふぅー、」
一通り、準備を済ませた黒は自分の部屋を感慨深そうに眺める

黒(この物に溢れた部屋も、最初は居心地の悪い物だったが、今は落ち着く何かがあるな…)

黒「そろそろいくか」

黒は刀を手に取り目的地に向かう

人里 郊外 一際目立つ豪邸にて

黒はその豪邸を一目で見渡せる高い場所に身を隠し、双眼鏡を除く
すると、豪邸の一角に人々が集まっているのを発見する
先頭に立つ太っている人物、それこそがターゲットである
そのすぐ横に白いローブに身を包む女がいた

黒(女?まさか、あいつが用心棒?)
そんなことを考えてると
その女がこちらを見て、目が合った

黒(!?)
驚きのあまり双眼鏡から目を離す
幸か不幸かそのせいで、女が笑ったことに気づかなかった

女「退屈しなさそうだわ」

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2014/12/25 (Thu) 22:14:42

東方黒屋録 第四話 殺し屋

数分前

太男「ガハハハハ、やはり、金よ、金なのよ、世の中やっぱり金なのよ」
モブ「おっしゃる通りでやんす、親方様のお力ならなんでも出来ますよ!」
太男「そうだ!そうだ!そうであろう!妖怪の分際で人間様と仲良くなろうなんぞ、おこがましいのだ!」

1人離れたところに退屈そうな顔をしている人物

女「……」(退屈だわ、こういう奴ほど守り甲斐がないのよね、むしろ…)

そこで気づく、どこからか覗かれていることに、見られている、と、

黒 (!?)

女 (見〜つけた) 「退屈しなさそうだわ」

ガチガチガチガチ
太男「お、おお、おいっ!そ、そ、そ、そこの、そこのっ、、」

ふと見ると二人の男が腰を抜かしている
膝もガクガクでしばらく立てそうにはないようだ

女「?」

理由がわからずにしばらく考えて、近づいて手を出すと

太男「じ、じじ、自分で立てるわ!」

といって、手を払われた、目はあたかも化け物を見るようだった

女 (あぁ、殺気が出ちゃったのかしら…はぁ、これだから、)

溜め息をついてるとまたもや気づく、

女 (あら、消えた?あーあ、折角楽しみだったのに、ツイてないわ)

カチャン
黒「お嬢さん、用心棒なのに、そんな余所見はいけませんよ?」

太男&モブ「ひ、ひあぁぁぁあ!!??」

またもや腰を抜かし、しばらく動けそうにない

仕事口調の黒が女の後ろに立っている
躊躇なく刀を振り下ろすが

黒「!?」

その刀は空を切る

女「あら、勇ましいことね、私に喧嘩を売るなんてしかも私をお嬢さん呼ばわり、そして私の顔を覚えてないだなんて」

場の空気や、雰囲気が重くなる

女「いい度胸よ、そういう若さゆえの怖さ知らずは嫌いじゃないわ」

フードが外れた"緑髪"の女は楽しそうで、冷徹さがひめられている笑みを浮かべる

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2014/12/26 (Fri) 00:14:04

東方黒屋録 第五話 経験

黒はその重き雰囲気に笑みを浮かべ、女と同様に楽しそうに笑い出す
黒「いいねぇ、そういうの、今夜の仕事は退屈しなさそうだ」
女「それは私も思っていたことよ」

二人ともしばらく睨み合っていると

黒&女「気が合いそうだ/だわ」

しばらくして何も言わずにお互いに刀を抜き合う

女「待ちきれないわ早く始めましょう」
黒「もう始めてるさ」

黒は背後から急に現れ刀を当てようとする

女「あら、不意打ちとは卑怯ね」
難なく女は受け止める

黒「戦いに卑怯も何もないさ、生きるか死ぬかだろう?それに、死人に口無しとも言うじゃないか」
女「ますます美味い酒が飲めそうね」

不意に横から花弁が飛んでくる
実際、飛んでくるというより、首元を狙って放たれたと言った方が正しいと思われる

黒「うおっと、この世界は何でもありだな」
女「妖怪が何を言っているの、あなたの存在自体何でもアリのようなものじゃない」

黒「おいおい、私をそんじょそこらの妖怪と一緒にするじゃぁねぇよ、」

またもや、場は重くなる
あまりの重圧に男共はすでに失神している
女は少し目を見開く

女「あなた、人間?それとも妖怪?」
黒「私の知ったことじゃあない、ここに来たらこうなっていただけだ、寿命が延びたかぐらいの差ではないのか?」

黒は目が黒に染まり、瞳孔は紅くなっている
女は何を感じとったのか距離を取って目には見えないくらいの速さで魔力を飛ばし花弁を飛ばす
黒はそれを軽く避ける

女「一発も当たらないなんて妖怪ではないのか?」
黒「くっくっくっ、私ら人間はお前らと違って一発この頭に当たったら人生そこで終わるんだよ、そのため人はここを守るために色々な工夫をしたヘルメットだったり鉄の塊で囲い、大砲をくっつけキャタピラなんぞで動いたり、がんばったものだが結局は死んでしまえば終わるのだ」

疲れからくる一瞬の隙をつかれ、女は視界から黒を外してしまう、そして、姿を見失う

女「ふふ、こちらも楽しくなるわ、どこに隠れているの!早く出てらっしゃい」
黒「出てるがお前が見てないだけだ」

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2015/01/21 (Wed) 13:19:32

東方黒屋録 第6話 殺意

女の背後に立ち斬りつける
女はギリギリで避け刀を脚で地面に叩きつける

女「やめたやめた、萎えちゃったわ、結局あなたは与えられた任務を遂行しようとしてるだけなのね、殺意に興奮した私がバカみたいじゃない」
黒「あらあら、バレてしまいましたか、まぁ口調を変えたくらいで騙される方がバカですよね」
女「へぇ、私をバカにしてるの?」
黒は苦笑して
黒「めんどうな女の方だ」
そういいながら、目的の男に近づき女の方をもう一度見る
女「別にいいわ、殺すことが楽しいんでしょう?」
黒は男の頭を斬り落とす
黒「そんなわけないですよ」
女「あなたさっき、口調を変えたくらいでって言わなかったかしら?」
黒「さぁ?何の事ですか?」
黒は笑顔で聞き返す
女「つくづく面白くない男、」
黒「よく言われます」
そのまま、黒はどこかへ消えていった

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑 URL

2015/05/03 (Sun) 22:24:33

お久しぶりです。
ちょっと小説の書き方を変えてみました。
見づらかったらすいません。
あと、東方零無録なるものを始めました。
URLが上手く貼れていたら読めると思います。

では、
東方黒屋録
第7話 悪運

暇だ…。
今日は昼の水やり以外に仕事が入ってないため朝から何もやることがなかった。パンとスクランブルエッグという適当な朝食を摂ってからずっと椅子に座って考えにふけっていた。博麗神社にでも行こうか、人里をぶらつこうか、んーどちらもなぁ。ふと時計を見ると、針はすでに昼前を示していた。先に仕事を終わらせてから考えるとしよう。

準備を整えている最中に気づく。太陽の畑ってどこだ、まぁこういう時は慧音さんに頼るのが一番手っ取り早い、幸い時間もあるし寺子屋まで行くか。

「太陽の畑、黒がそんなとこになんの用だ。」
「仕事なんです。水やりの手伝いをしにそこまで。」
「……まぁ、あいつも生身の人間には手を出したりしないだろう。よし、地図を描いてくる少し待っていてくれ。」
人里の人には自分が妖怪だということは伏せてある。その方が動きやすいし、なによりも仕事に関して疑われずに済む。俺が妖怪だと知っているのは紗江や紫の他に限られた人物しか知らない。
「さて、これでいいだろう。仕事とはいえ気をつけろよ。」
「ありがとうございます。では、行ってきます。」

地図によればここら辺が太陽の畑だろう。というか、これなら地図がなくてもわかったかもしれない。あたり一面太陽を思わせる向日葵、これがきっと太陽の畑という名前の由来だろう。二メートルはある向日葵は依頼者を見つけるのを苦労させるだろう。考えたら憂鬱だ。

向日葵を掻き分けて進んでいると開けた場所へと出た。そこには緑髪の女性が静かに紅茶を飲んでいた。どう頑張ってもその緑髪に目がいってしまう。思わず声が出てしまう。
「おいおい…嘘だろう……。」
「あら、初対面の相手に嘘呼ばわりなんて失礼ね。」
「確かに失礼だが、初対面じゃあないだろう。」
「じゃああなたは認めるのね自分が人殺しだって。」
「今さら何を言ったって意味がないだろう。」

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑 URL

2015/07/26 (Sun) 22:35:54

黒屋録 第8話

肉を切らせて骨を断つ、それが俺の戦い方だ。殺されるかもしれない、そんなギリギリのスリルが堪らない。だからと言って俺は戦闘狂というわけでもない。戦場へと向かえばそこで死なない程度に楽しむだけだ。…楽しんでいる時点で戦闘狂に近いか。まぁ、百歩譲って戦闘狂だったとしても俺は今目の前にいるこいつよりかははるかに常識人だ。
血の赤と髪の緑、混ざり合って異様だ。昨日のように傘は使わず、ただ拳で殴り合っている。自分の二倍はあるであろう妖怪を、対等それ以上で渡り合っている。痛みを楽しんでいるのか潰すのを楽しんでいるのか…MなのかSなのか…理解できる範疇ではない。
先ほど急に襲ってきた妖怪、いつになく、いやほとんど有り得ない事なんだが、まぁそれは置いといてだ。妖怪は数を集めて襲ってきた。俺も一緒に戦おうとしたが緑髪の女は楽しそうに妖怪の方へと向かい、これだから水やりをやってほしいのよと口調とは裏腹に嬉しそうにして飛んで行った。

向日葵への水やりが終わった頃。緑髪の女は血まみれの体で笑顔を浮かべて近寄ってくる。
「早くやりましょうよ。」
「めんどい。」
足早に去ろうとしたのに足元に蔦が絡まり、それを阻止する。
「やらないと、やるわよ。」
笑顔でなんて事を言ってるんだこいつ。もちろん何でも屋の仕事に殴り合いや殺し合いなどは含まれていない。そういうのは裏でやっていることだ。
「いやだ、そういうのは今の俺の担当じゃあない。」
さらに言うならば今この状況で戦っても俺に勝ち目はない。こいつは俺の能力を知らない。知らないからこそこうやって昼間から戦いを誘っているのだ。
「…ふうん。」
疑いの目。こいつに気付かれてしまうのは本当に厄介だ。
「それに、俺は昨日怪我をしたんだよ。こんな状態で戦われるのも嫌だろう?」
「冗談よ、そんな真面目に嘘つかなくていいわ。」
…目が冗談に見えなかったけどな。しかも嘘バレてるし。
「で、いくらかしら?」
「一時間くらいはかかったから、このくらいかな。」
あらそう、といい財布を腰から取り出す。
「風見幽香。」
女は素っ気なく言い放った。呆然としている俺を見て鼻で笑う。
「凶暴とも言われるけれど、友好的に行きたいのよ。名乗れば警戒心が解けるとは思ってないわ、でも名乗らないよりは友好的だとわかるでしょ。」
太陽のような笑みで彼女はそういった。
「ほら、あなたの番よ。」
「…あまり、自分の名が好きじゃない、むしろ嫌いなんだ。」
そう、それは悲しいことね、彼女はそうつぶやいて一瞬俯いた。しかし、すぐいつもの澄まし顔に戻り、
「じゃあ、私はあなたをなんと呼べばいいのかしら?」
「黒だ。みんなにそう呼ばせている。」
「黒か、いい名前ね。」
ありがとう、とつぶやいた。褒められるっていうのはいつになっても慣れない。特に罵られるような仕事をこなしてきた俺には。時間を見てはっとする。
「時間だ、そろそろ帰らないといけない。」
「あらそう、また今度も来てくれるかしら。最近、暇で暇で仕方がないのよ。」
何となく断ろうと思わなかった。少しだけだが、ここが心地いいと感じた。嘘をつかなくていい自由、気楽さからなのだろうか、まぁ、どうでもいいか。

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑 URL

2015/08/06 (Thu) 16:35:19

黒屋録 第9話

帰り際、幽香から花をもらった。俺が持っていても枯れるのを待つだけだから、これは紗江に渡しておこう。
「ありがとう、これどこから持ってきたの?」
「花畑で少しもらってきたんだ。似合うかなと思って。」
彼女は子供のように喜んだ。
「花ぐらいでそんなに喜ぶか?」
「うん、当たり前じゃん。だって…」
彼女は言葉を濁らせた。その素振りに何故か鼓動が早くなる。
俺は……俺は何を期待してるんだ。
「だって………こんなにも綺麗なんだよっ!」
そう言って彼女はまた花を愛でた。理由を聞いて、ホッとした。汚いこちら側の俺が、キレイな向こう側の彼女と関わり過ぎちゃダメだ。超えてはいけない一線があるんだ、忘れるな。

彼の問いに思わず答えそうになっていた。恥ずかしくて言えるわけない、あなたからもらえたからなんて。黒の顔を直視できず、花に視線を落とす。いつかは伝えたいな…。

花に目を落とした彼女を見つめる。守らなきゃ…。その二つの想いは強まるばかりだった。
やっぱりダメだ。
「じゃあな。」
あ、ちょっと。
後ろから聞こえてくる愛おしい声を振り払って僕は逃げた。
そう、逃げたんだ

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑 URL

2015/08/07 (Fri) 06:49:44

黒屋録 第10話

「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」
ドアが壊れそうなくらい大きな音を立てて閉まる。

…気がついたら、泣いていた。いつから泣いていたのか覚えてないが、博麗神社から走ってきてる間に涙が出てきたのは確かだ。
時々自分がわからなくなる、俺なのか、僕なのか。こんな時につくづく思い知らされる、戦争ってのは何も生みやしない。人の心に治らない傷をつけて、去っていく。一般人からしたら竜巻や地震。災害と変わりゃしない。昼間の僕は嘘ってわけじゃない、夜の俺も嘘じゃない。どちらが本当なのかあの大東亜戦争からわからなくなっちまった。ここにくる直前のカミカゼ…零戦の中で一体何を考えていたんだろうな。
今思うと出撃前の最後のブリーフィングで言い渡された生存率五%未満はきっと嘘だろう。あんな弾幕の中、敵戦艦に辿り着けるかどうかも定かじゃない。しかもこっちは馬鹿みたいに爆弾を積んでやがる、零戦が誇った機動力なんてありゃしねぇ。
あれ、戦争に出る前の俺って何してたっけ。まぁ、どうでもいいか。僕はきっとくだらないことでもしてたんだろう。


いつの間にか寝ていた。窓から射し込む光が眩しくて、何となく切なく感じる。朝が来れば必ず夜もくる。そして明けない夜はない。明ければまた朝が来る。そこにきっと意味なんてないんだろう。
ただ、俺は僕のあの時死ななかった意味が知りたかった。


赤い目を擦って、涙をぬぐって。僕は俺の日常へと戻る。昨日と同じように自分の朝食を用意し、食べた。食欲は全くなかったが食べないのは良くない。無理矢理にでも腹に詰めた。店先に出て「CLOSE」を「OPEN」に変えようとすると、
「ぁ、あのっ!」
男の子が決意の表情で立っている。
「お父さんを、探してください。」
手には依頼に見合ってない額の小銭があった。

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑 URL

2015/08/21 (Fri) 04:40:18

雑談スレが重くて投稿できないので
勝手ながらこちらで言わせていただきます


パセリさん、ハッピーバースデー!!
お誕生日おめでとーございます

いやぁ、俺のiPod touch、案外性能低いっつーかなんつーか…
最初のセリフもあってなんか味気ない感じになってますが伝わってるといいです

黒屋録 第11話

「あんた!何言ってるの?帰るわよ。」
子供親らしき人がきて男の子の手を引き何処かへと行ってしまった。急なお願い、いや、依頼にびっくりしてしまい返答する間も無く男の子は消えていく。しかしその間、男の子は一切自分と目を離そうとしなかった。
あの目はきっと…….きっとまた来るな。
面倒と言えば面倒だが、やり甲斐がありそうだった。今日はまた幽香の所へ行こうとしている。何となく、だが体がそうやっている。


「そういえば何で花が好きなんだ?」
「そうではない花もいるけど、一年しか生きられない中、必死に次の命に繋げるためだけに生きて、次に繋げられるとすぐさま枯れてしまう、そんな様が可愛らしくて仕方ないのよ。」
幽香の花への手入れをしながら聞いていた。
「何か悩んでいたりするの?」
意外な質問だった。
「そんなあからさまに意外って顔しないでちょうだい。」
自分の顔を見て笑いながらそう言う。
「あぁ、すまん。…自分には好きなものとか、それに対する理由がないなと思ったんだ。」
「へぇ、今の仕事は?好きな食べ物や好きな人とかいないのかしら。」
紗江が思い浮かぶ。けれど、それは別な気がしたんだ。
「……まぁ、聞かないわ。言いづらそうだしね、そんな状態で聞いても気持ちが悪いだけだわ。」

ありがとう、

声に出したかどうか、曖昧だ。





黒屋録本編はおわり。
ここからは蜜柑の独り言です
最悪の目覚めでした。Gが首筋を通る感覚で飛び起きるという、急いで払って電気つければあいつが、あいつがぁぁぁぁあ。もうGだと気付いた時は、うぎゃぁぁぁぁぁってなりましたよ。

雑談スレを真面目に見てて、たけるんさんが言ってたキャラが大分変わってるって、そう言われりゃ色々あったなぁって、あの頃は心の闇を深淵深淵言ってるような中二病のようななんというか、とにかく情緒不安定でしたねぇ。錬さんと錬の字さんは絶対関係あると思いますよ!
それもこれも含めてイイオモイデダナァ。ww
まぁ、今は一変して落ち着いてきて、色々と成長できているはずです。
5年後ですか……俺は楽しみにしてますよ。言い出したのは俺だったような気もしますしね。

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑 URL

2015/09/07 (Mon) 15:41:18

黒屋録 第12話

気づけばまた家にいた。
花に水をやって、幽香に別れを告げたのは覚えている。けれど、そこからが記憶にない、どの道を通って、どうやって帰ってきたのかを覚えていない。
最近、まるで自分が自分じゃないようだ。痛みの響く頭を抑え、息を整えながら椅子に腰掛けた。
窓から差し込む太陽とは違う優しい光が夜になったことを告げる。
一体、どうしたって言うんだ。
頭がグラグラと揺れる感覚が収まらない。
クソが、考えたくもない事ばかり考えちまう。…頭痛には寝るのが一番だろう。朝になればどうにかなる。
ふと思った、寝ている時が一番幸せなのかもしれない。



目を覚ますと、時計は10時を指していた。憂鬱な朝を迎えながら、朝食の支度をするためにキッチンへと向かう。
出来上がったパンを咥えながら、テレビのスイッチをオンにする。
「昨日の夜、何者かによる通り魔殺人事件が起こりました。被害者は…」
このご時世に殺人事件を起こすなんて、アホなやつがいたもんだ。きっと捜査のために紫から呼び出されるだろう。


博麗神社
「あら、あなたってばそんなに信仰熱心だったかしら?」
「はっ、笑えないね。」
紗江はいつものように話してくる。実を言うと花束の一件以来、喋りかけるのが気まずかった。
「あー…あの時はごめん。急に帰っちゃって。」
「いやいや、きっと何かあったんでしょ?謝らなくていいよ。で、今日は何の用で来たの?」
「紫に呼び出されたんだ。」
ふうん、と興味なさけな声を漏らすと、座敷の奥にいると教えてくれた。何故だろう、少し悲しげに見えた気がする。

「紫?昨日の通り魔殺人事件について聞きたいことがあるんだが。」
「…いつものように、情報が早いのね。」
「あのテレビって奴が幻想入りしてからさ。」
紫は一つ咳をすると、事件の概要を説明し始めた。
要約すると、時間はわからないが被害者三人は酔っ払っており、そこを鋭利な刃物を持った何者かによって斬り殺された。抵抗の痕跡が無いところと、背中に傷があったことから、後ろから急に襲った可能性が大、更に被害者一人一人に共通点はなし、別々の場所に倒れており、容疑者は誰彼構わず斬りかかったのではないかというところだ。
「被害者の写真よ、顔と発見時そのままのもの。この殺し方に見覚えはないかしら?あなたの知ってる妖怪や人間の中にあるのなら簡単なのだけれど。」
「……いや、ないな。」
「…そう、仕方ないわね。現場に行って、何でもいいから証拠になりそうなものをかき集めてきて。集まったらまた私のところに来てちょうだい、じゃ、また。」
紫の部屋から出て戸を閉めた。畳を踏む音だけが聞こえる。神社の外に出ると、眩しい光が目に差し込む。
「黒!」
今度は楽しそうに名前を呼ぶ声が聞こえた。けれどそれは近いようで遠くて、遠いようで近かった。
あの手口、斬り口、見覚えがある。誰よりも俺が一番近くて多く見ているから、忘れるはずがない。

あれはここに来る前までによくやっていた、俺のやり方だ。

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2016/02/21 (Sun) 13:16:23

黒屋録 第13話

晴天の日の縁側にて

最近、彼の様子がおかしい。
前来た時もとても挙動不審だった。
そして今日、彼は顔面蒼白、満身創痍も過言ではなかった。何があったのだろうか、人里で上手くいってないのかも。妖怪になってから、まだ数年しか経っていない、幻想郷も、中々慣れるような場所ではないし、もういっその事ここに住めばいいのに。彼も困る事はないだろう、私だって嬉しい。悪い事は一つもないと思うんたけどな。
…やっぱり、避けられてるのかな。だとしたら私の何がダメなのかしら。博麗の巫女ってのが引っかかるから?体術バカだから?うーん、どうしてなのだろう。
はっ!もしかして、紫と出来ちゃってるとか!?
…いや、それはないか。にしても時々来ては紫と1、2時間何を話してるんだろ。仕事?それとも最近入ってきてる文明の事かしら?んー、人里の事かな?……恋愛相談!?
いやいやそもそも出会いがそんなにないはず、彼の住む人里にはここから一番近いからご老人が多いし、そんなに綺麗なお姉さんは多くなかったはず。うん、きっと。
……仕事先!?
いや、もうやめよう。これ以上考えたら私がもたない。はぁー、ダメだわ。お茶でも飲んで落ち着こ。

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2016/07/25 (Mon) 19:00:53

黒屋録 第14話

あれから、いったいどれだけの時間が経ったのだろうか。頭の中がごちゃごちゃして上手く思考が回らない。酔ったように気分が悪い。食事は喉を通らず、殺した事実が眠ることを邪魔する。
(紗江…)
そして気づくと紗江の事ばかり考えている。何も知らない紗江のことを考えると自分の汚れがかえって目立ち、犯した罪の重さをより深いものにする。現実を受け止めきれず、他のことを考え気を紛らわそうとするが辿り着くは紗江のことだ。何度負の連鎖繰り返した頃か、ふと紗江の綺麗さが偽物のように感じられた。真実を知らず、偽られた事実のみを知り、今もなお、叶うことのない希望を持ち続ける紗江の立場がひどく脆いものに感じた。それの何が自分を正気に戻したのか、このままではいけないと思い、脚に力を入れて立った。カレンダーには季節外れの数字が並びそれが経った月日の長さを痛感させた。ハエの飛び回る流し台、埃のたまった皿、机に置かれた数ヶ月前の新聞。その一つ一つが自らの不甲斐なさを訴えた。気をしっかりと保って現状を調べなければ、そう思い片付けようと動き始めたところに、家の戸が叩かれた。
「…どうぞ。」
滅多に来ることのない突然の来客、依頼の話ならばそのほとんどが電話。もしくは事前に約束するものだ。血のついたままの刀に目をやると、体は強張った。
警戒している黒をよそに扉の先にいたのはいつかの子供。父親探しをねだったあの子だった。

少し片付けると子供を中に入れ、椅子に座らせた。
「お父さんを探して欲しいっていう話か?」
子供はこくんと頷いた。
「もう少し詳しく話してもらえるか。」
子供は目を逸らし、少しの間黙っていたかと思うと
「…少し前に、仕事に出たはずの父さんが帰ってこなくなった。それからは母さんが一人で頑張っていたんだけど…。」
子供は俯き、こちらからは完全に顔が隠れた。けれど身体が震えているのは見てとれた。
「…けど、なんだ?」
いつの間にか震えていた手を隠すように力強く握ると言葉に苛立ちが出た。
「母さんは死んだ。今は伯母の所にいる。そして最近、ある身寄りのない男が寺にいるっていう話を聞いた。」
顔を上げた少年の瞳には決意が現れていた。寺とはここから急いでも1日ではたどり着けない場所にある。その道中は人の肉を喰らう妖怪や獣がでるのだ。
「そこまで、連れて行けと。」
再び子供はこくんと頷いた。ただ先ほどより意志を感じた。
ここから離れるのは好都合だった。情報を集め、現状を把握しなければならない。そこからだ、自分がどうするかは。
「三日後までに準備できるか?」
「うん。」
「じゃあ三日後、里の西の門で集合だ。」
話しながらそれまでの三日間、何をするか考えていた。
主に、紗江たちに話をしに行くかどうかを。

Re: 蜜柑の小説 - 東方蜜柑

2017/10/21 (Sat) 17:29:51

黒屋録 第14話

 その日は気持ち良すぎるくらい暖かく静かだった。それでなお、耳を澄ませば聞こえてくる風の音、小鳥たちのさえずり、木々の葉が擦れ合う音、昼寝をするにはちょうどいい日だ。春が終わり夏に変わり行く色鮮やかな日々の、心地よく暖かい日の光や鮮やかで賑やかな自然は物憂げな表情を浮かべる彼女にとっては些細なことだろう。けだるそうに、彼女は縁側に腰かける。
 最近、寝込むことが多い。体調がすぐれないのかなんなのか、はっきりしないが身体は鉛のように重たく疲労を感じることが多い。それに加えどうも気分が晴れない、雨の日の空のような、どんよりとどろどろしたものが胸のあたりに絡みついているように感じる。遊んだり、買い物したりして何度か気分転換を試みたものの、かえってそれらの努力が稚拙に感じ、余計に疲労を感じさせた。
 それもこれも、すべて黒が数か月も顔を見せなくなってからだ。
黒が顔を見せなくなって、同じくらいからいつも慌ただしく駆けていく紫の姿を見る。いつものようにはぐらかして時が来たら話すとは言ってくれるが、一度だって私に詳細を話してくれたことはない。最初は憤りと疎外感を感じていたものだったが、今では信頼されている証拠なのだと思っている。それでも、今までにないほどの深刻な面持ちをした彼女は私を不安にさせていた。
「今度会ったとき、絶対にぶっとばしてやるんだから…。」
 することもなく話相手もおらず、暇になるといつも考えてしまうのはあの人のことだ。
 あの人と出会うまでの私は孤独だった。人々は人ならざる博麗の力を恐れ、いつも私から距離を取って根も葉もない話に花を咲かせていた。「人間を生贄として食っている」「妖怪に育てられた」今、挙げたものもまだいいほうだった。私からも接触しようだなんて思ってもなかったから、都合がいいといえば都合がよかった。それでも、同じ年ごろの女の子たちが楽しそうに並んで歩いているところを見て胸が痛まないわけでもなかった。そんなときに、紫があの人を連れてきた、正確に言えば拾ってきただけど。

Re: 蜜柑の小説 - 東宝蜜柑

2017/10/22 (Sun) 16:03:20

あの日は風が冷たかったのを覚えている。いつものように暴れていた妖怪を退治して帰ってきたところだった。その頃はまだ妖怪は激しく暴れていて、一日に何匹も倒すのは当たり前だった。そのひも案の定、朝から昼過ぎまでぶっ通しで妖怪たちと戦って疲れ切っていた。
(今日のご飯はなんにしようかしら)
 いつもは依頼から帰ってきたらまず紫に報告するのだが、その日は先に汗を流したくて、風呂場に直行していた。疲れのせいなのかなんなのか、私は誰も入っていないはずのお風呂の湯が沸き、電気が点いていることに何の疑問も抱かずに無防備な状態でドアを開けてしまった。
 湯気の中見えたのは、鍛え抜かれた肉体とその体に刻まれた無数の傷だった。長い間、異性との会話することがなかったからか、その時私の思考を占めたのは裸を見られた恥ずかしさよりも、見知らぬ誰かがいることに対する警戒だった。気づけば微弱ながらも妖怪の気配を帯びていたため、私の中で彼は完全に敵となっていた。…敵ならば呑気に風呂に入っているわけもないのに。彼もこちらに気が付いたようで、慌てふためいていた。そのすきを狙って素早く腕をとり、背中の方へひねり上げた。
「あなたは誰、なにが目的。」
「痛い痛い痛い。俺は気が付いたらここにいて、あのへんな女に風呂に入れって言われたから入ってただけだ。そんなことより、あんた、服を着てくれっ。」
 そこで思い出す。私は裸で、目の前に立つ人間は自分と同じ年頃の男であるということだ。
「っっっ。」
 思い切り腕をふった。いくつもの修羅場を潜り抜けてきたが、ここまで焦り、我を忘れたことはなかった。思い切り殴られた彼は、その一発で気を失い、なるがままに宙を舞いそのまま床に倒れた。彼が妖怪だったからよかったものの人間なら、首の骨は確実に折れ、もしくはとんでいただろう。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
 ようやく我に返ったわたしは、とてつもない罪悪感に包まれた。死んでいないのはわかっていたが、見ず知らずの相手を手加減することもなく、理由も聞かずに思い切りぶん殴ったのだから。そもそもこんなにどんくさい敵がいるはずもない。
「………ぷぷ、あはははっ。」
 後ろを振り向くと、紫が腹を抱えて笑っていた。
「…………いつから。」
「あなたが脱衣所に入るところから。」
「はぁ、……止めなさいよ。」
「まぁ、殺していないのなら大丈夫でしょう。それにあなたが案外乙女だということも知れたしね。」
「殺すわよ。」
「その子について説明するから、居間まで運んで頂戴。きちんと布団も用意して、そこに起きるまで寝かしといて。自分の後始末くらいやれるわよね。」
 床に突っ伏している彼を見ると先ほどの罪悪感と後悔がぶり返してきた。運ばなければならない手間もそうだが何より彼は入浴中だったのだから裸なのだ。普段頑張っている私がどうしてこんな目に合わなければならないのだろう。いろいろな感情が織り交ざり、だんだんとイライラしてきた。これは全部紫にぶつけるとしよう。

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