たけるん掲示板

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マリス砲の小説 - マリス砲

2014/08/28 (Thu) 20:25:52

皆さんの小説見て、私も書きたいと思ったので書きます。9月から。
文才ない小説だけどゆっくりしていってね!

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/08/30 (Sat) 10:57:43

  ―――プロローグ―――

―私は、誰だっけ?

そんな自問自答。

―私は、神。全ての生物の希望を操る神。

そうそう、そうだったね。

―ここは、何処?

…さあ?

―ここは、異次元と異次元の狭間。

それはまた面倒な所で。

―何でこんな所にいるの?

一番よく知ってるくせに。

―それは異次元と異次元を移動したから。

そうなのかー。

―これから何処に行くの?

何処だったかなぁ。

―……郷。

あ、今省いた。絶対省いた。

―…もういいかい?

かくれんぼですか?

―…もういいよ。


会話が終わった。声がしなくなった。この真っ黒い空間に私一人と思うとちょっと寂しい。
なんでこんな自問自答なんてしてたんだろうか。痛い人だと思われるぞ私。


…少し体が怠くなった。そろそろ"着く"のだろう。
しばらくすると立っているのも無理になった。

バタリ。
遂に体が倒れた。そして眠気が襲ってきた。目を開こうとするも段々閉じていく。




ぐにゃり。



言葉にするならそんな感じの音がした。



できる限り目を開けてみた。



私の目に映ったのは、



いつも住んでいる私の家と、


笑っている"真っ黒"な私だった。
私の意識はそこで途切れた。

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/09/01 (Mon) 12:29:43

東方影疑惑   第一話

?「…さん!姉さん!起きてる?死んでる?」
希彦「…人を勝手に殺さないで欲しいんだけど」
起きるとそこは私の部屋。目の前にいるのは私の妹、「攝無(せつな)」。(私の愛称はせっちゃん)。
希彦「おはよう、せっちゃん。起きて聞いた妹の第一声がそれで私は悲しいよ」
攝無「いやですねー。あれは私なりの愛情表現ですからー」
この子はいつもこうだ。慣れたことなので気にしてないけど。
希彦「ところで他の皆は?」
攝無「一部死んでほしいと思っている奴含めて皆ピンピンしてますよ」
希彦「…血は繋がってはいないとはいえ家族。そんなこと言っちゃ駄目」
せっちゃんの悪い癖。治る気なさそうだから私も正す気はない。
攝無「はーい、肝に免じておきまーす。そういえば家の周りに何か人「おーねーえーさーまーー!!!」チッ…」
せっちゃんの声を遮った大声とともに一人の少女が入ってきた。私の妹の「水琴(みこと)」である。(私の愛称はみこちゃん)。
水琴「お姉さま大変です!家の周りに何か人妖が集まってきてますよ!?」
攝無「それ私が言うとこだったんだけど」
水琴「そんなことはどうでもいい!お姉さま、どうすればいいですかね!?」
人妖がいる、それは幻想郷の住人達のことだろう。対処の仕方は考えているので慌てる必要はない。少なくとも私は。
希彦「そっか…。そうなんだね…。まぁとりあえず…、お茶が飲みたい。みこちゃん、せっちゃん、お茶入れてきて」
水琴・攝無「「えっ」」
二人とも目を真ん丸にしている。ともかくお茶が飲みたいので二人に行ってもらおう。
希彦「ほら、はーやーくー。緑茶が飲みたいー」
水琴「い、今すぐ持ってきます!ほら、行くわよ刹那!」
攝無「貴方に言われなくともわかっているわよ!言っておくけど姉さんのお茶入れるのは私だから!」
あの二人がいると騒がしい。そんな騒がしさが私は好きだけど。そんな事を思いつつ私は起き上がり服を着替える。
着替え終わったら窓を開けて外の景色を伺う。何やら本当に人妖がいるようで。会話も聞こえる。
ちなみにこの窓は特別なもので、相手側からこっちが見えないという優れものなのだ。

「なあアリス。この家何があると思う?私はきっとお宝があると思うぜ」
「魔理沙はいつもそういう事考えるんだから…。そういう事考えて実行するからパチュリーも怒るのよ。」

「【妖怪の山にいきなり現れた屋敷!】これは記事になりますよー!ねっ、椛もそう思うでしょ?」
「はたてさんもとかも記事にすると思いますけどね」
「うっ…。いいのよ、早めに乗り込んで住人達にインタビューすれば!」
「だからにとりも連れてきたんですね…。どうせあれでしょ?にとりが持ってる…光学迷彩…でしたっけ?それ使って勝手に入り込むのでしょう?」
「私は清く正しい射命丸文!そんな野蛮なことは「文ー!光学迷彩の修理終わったよー!」…し、しませんよ…」

「ねぇねぇ霊夢さん。あのお屋敷どんな人が住んでると思います!?私は宇宙人だと思うんです!」
「宇宙人なんているのかしら?ともかくここに住んでるのが妖怪だったら異変でも起こす気なのかな」
「異変起こすために幻想郷に来たんですか?もの好きな人ですね」
「早苗には言われたくないと思うわー…」

何だこの酷い言われようは。宇宙人だとか異変を起こすだとかお宝があるだとか。
私達は宇宙人ではないし異変を起こすことに微塵も興味はない。お宝はあるかもしれないけど。
ともかく私はこれ以上誤解を招かないよう、部屋を出て外へ足を進めた。

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/09/07 (Sun) 08:32:36

東方影疑惑 第二話

ドアの近くまで来ると人妖達の会話がよく聞こえる。
ドアを開けると一斉に視線がこちらに向かってくる。
「えっと…今家の中に療養している子がいますので静かにしてもらいたいのですが」
療養している子がいるのは嘘だ。ただ単に帰ってもらいたいだけの嘘なのだから。
すると先ほど光学迷彩を使用し家の中に入り込もうとしていた鴉天狗が私の方に向かってきた。
「こちらこそお騒がせしてすみませんね。私、射命丸文と申します」
名刺だろうか。長方形の小さな白い紙を手渡してきた。
文「私がここに来たのはインタビューの為なんですけど…。お願いできますかね?」
希彦「私一人でも構わないなら。後、そこにいる皆さんの質問にも出来る限りお答えしますよ」
文「おお!インタビュー出来るなら人数なんて関係ありませんよ!ささ、どうぞこちらに」



……その後様々質問が私を襲いかかってきた。
「お前の家にはお宝はあるか?家にはどう入るんだ?」
「あんた妖怪?妖怪なら問答無用で退治するけど」
こんな物騒な質問も来た。前者は霧雨魔理沙さん。後者は博麗霊夢さん。どちらも幻想郷では顔が広い人達らしい。
一段落着いたら彼女達が住んでいる所に行ってみようと思う。…あんまり行きたくないのが本音だけど。

一通り質問は答えた。
文「希彦さん、インタビューご協力頂きありがとうございました。それでは私はここで失礼させて頂きますね」
彼女はペコリ、とお辞儀し空高く飛んでいった。
インタビューが終わったので辺りを見回す。太陽は沈み、月が出ていた。つまり今は夜なのだ。
ほとんど人は残っておらず、私も家に戻る事にした。
その時だ。


魔理沙「なーなー希彦。明日暇か?」
魔理沙さんから声をかけられた。
希彦「暇といえば暇ですね」
魔理沙「だったら私が幻想郷を案内してやるよ!お前まだ新米だろ?幻想郷の事を知るいい機会だと思うぜ」
明日は特にやることもなかったので暇だったので二つ返事で承諾。
魔理沙「それじゃあ朝迎えに行くからな!」
魔理沙さんはそう言い、箒にまたがって飛んでいった。
ここ人達は皆空飛んだりするのだろうか。

ともかく私は足取りを家への帰路に戻し、お夕飯の献立を考えていた。







――――――――― 一方その頃 ―――――――――

攝無「姉さーん!お茶持ってきましたよー!」
水琴「ちょっと私が持つ筈でしょ!?なんでアンタが持っていくのよ!?」
攝無「はぁ!?貴方、私がお茶入れる予定だったのに勝手に入れてたじゃない!」
水琴「それはアンタが入れるの遅すぎるから私がやってあげたのよ!?逆に感謝しなさいよ!」
攝無「私がお茶持っていくのは貴方の行動が遅いから!お茶を入れるのは良いとして、持っていくのも遅いなら意味ないじゃない!」
水琴・攝無「「うぐぐぐ…!」」








希彦(お夕飯出来たから呼びに来たんだけど…。というか私が居ない事にまだ気づいてないのか。いつものように喧嘩しているのかな?紙にでも書いておこ)
ちなみに二人は希彦が書いた紙には目もくれず喧嘩していた為お夕飯が食べれなかったのは、
それはまた、
別の話。

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/09/14 (Sun) 11:19:10

東方影疑惑 第三話
今日はとても天気がいい。太陽の光が眩しく、雲は一つも出ていなかった。
希彦「魔理沙さん…。まだかな」
魔理沙さんに案内してもらう約束だったが中々来ない。
とりあえず気長に待っていようと思っていた。


「よう、待たせて済まなかったな」
後ろから声をかけれたので振り返る。
希彦「魔理沙さん…。遅いですよ、何かあったんですか?」
魔理沙「いやー、天狗にいきなり弾幕撃たれてさ。かるーく蹴散らして来たとこだぜ。」
希彦「かるーく、ですか?結構時間経ってますけど」
魔理沙「そんなことは放っておいて、行こうぜ!」
無視されました。ちょっと傷つく。
魔理沙「そういえば希彦って空飛べるのか?」
飛べるといえば飛べるが日常的に飛んだりしない。
希彦「まあ、一応飛べますけど…」
魔理沙「なら話は早い!行くぜ、私について来てくれよな!」
そう言い彼女は箒で飛び始めた。というか飛べないって言って箒に乗せてもらえばよかった。
愚痴を言いつつも私は飛んだ。魔理沙さんのスピードに追いつけるよう速さを調整する。
魔理沙「何だ、充分飛べるじゃないか。心配して損したぜ」
少しイラッと来た。腹が立つので彼女に隣まで行く。
希彦「何気に酷い事言いますね。幻想郷の人達は皆こうなんですか?」
魔理沙「えーっとな、そういう奴もいるしそうで無い奴もいるぜ」
希彦「答えになってない…!」
しかしこんな所で怒ってもしょうがないと思い、気を静める。
希彦「ところで何処に行くんです?」
魔理沙さんは一息ついて口を開いた。



魔理沙「…博麗神社だ!」
今日は不幸だと実感する一言だった。

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/09/20 (Sat) 13:10:07

東方影疑惑 第四話
―博麗神社境内―

博麗神社、それは幻想郷の存在を維持するための大事な施設。
その神社を管理するのが博麗の巫女の役目らしい。
なお、賽銭は少ないらしく異変解決を生業にしているそうだ。
魔理沙「お、見えてきたぜ。あそこが博麗神社だ」
魔理沙さんが指を差した。
差した方向には森に囲まれた神社があった。
魔理沙「よし降りるぜ、しっかりついてこいよ!」
そう言い、彼女は神社に一直線に飛んでいった。
飛ぶというより降りるのほうが正しいかもしれない。




ドッカーン!


しばらくすると大きな爆発音が神社の方から聞こえた。
それに伴い魔理沙さんの声と、怒っているのであろう霊夢さんの声。それらを宥める女性の声が聞こえた。
何があったのかと思う、神社境内に入る。

魔理沙「霊夢、そんなに怒らないでいいだろ?誰も来ない神社が破壊されたって」
霊夢「アンタ何言ってるのよ!誰も来ないからって神社が破壊されるなんて・・・!怒るわよ普通!」
魔理沙「・・・誰も来ないことは否定しないのか」


誰も来ないから異変解決をしてるんだろうな、そう思いつつ霊夢さんの隣にいる女性に目を向ける。
あちらもこちらに気づいたのか、私を見て笑顔を返した。
「こんにちわ、霊夢の友達?私は博麗 麗香(ハクレイ レイカ)。麗香と呼んでもらって構わないわ」
希彦「これはどうもご丁寧に、私は鈴桜希彦と申します。以後よろしくお願いします」
麗香「よく出来た社交辞令ね」
希彦「それほどでもありませんよ、私のは処世術です」
麗香さんは霊夢さんと似たような格好をしている。これはあくまで私の考えだが、"彼女は一度死んでいる"と思う。
麗香「貴方・・・」
こちらをジローとみられる、いい気分ではなかった。
何故か麗香さんの手が私の方に伸びてくる。そして私の頬をグリグリし始めた。
麗香「何よこのぷにぷにのお肌・・・!私に喧嘩うってる?」
希彦「いひゃい、いひゃいです」
「麗香~、何やってるの?私にやーらーしーてっ!」
第三者が加わりさらに頬が痛くなる、ていうか誰だこの子。可愛らしいからお持ち帰りしたいのが本音です。
麗香「あぁエル来てたのね。いいわよ、私が許可するわ」
希彦「いひゃいいひゃい!」
エル「さーすがっ!それそれ~!」
希彦「いひゃいですいひゃいです!」

それから10分後。私はようやく頬いじりの刑から開放されたのだった。
麗香さんはこっちを恨めしそうに見てくるし、エルちゃん(さんよりちゃんの方があってる気がするので)はまだ満足していない様子だった。

麗香「うぅ・・・何であんなにお肌ぷにぷにしてるのよ・・・!実年齢私より上のはずでしょ・・・」
エル「あーあ、もっと触りたかったな。麗香のほっぺよりぷにぷにしてたし」
麗香「あ?」
エル「さーせん」
魔理沙「いつの間に仲良くなったんだお前ら?」
霊夢「お母さん達何やってるのよ・・・」
しばらく世間話をしていたら霊夢さん達がやって来た。
麗香「あらどうしたの霊夢?何かあっ・・・」
霊夢「?どうしたのお母さん?」
麗香「・・・上を見上げてごらんなさい」
そう言われ全員上を見上げる。
そこには空全体が黒い何かに覆われていた。
エル「ねー、空黒く見えるの私の気のせい?」
魔理沙「気のせいじゃないぜ・・・、あっエルお前の仕業か!?」
霊夢「大いにありえるわね・・・」
麗香「同感」
エル「いや私のせいじゃないから!そもそも今日は能力発動しちゃったし」
麗香「その話はこのこと・・・いえ、"異変が"終わってから聞いてあげるわ」
希彦「え、これ異変なんですか?」
麗香「恐らくね・・・。霊夢、出るわよ」
霊夢「わかったわお母さん」
なるほど、異変だとわかったらすぐに行動に移すのか。それを利用されなきゃいいけど・・・。

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/09/29 (Mon) 12:50:48

※今回ちょっとグロ(?)入ります   
東方影疑惑 第五話
霊夢さんと麗香さんは異変解決の準備、魔理沙さんはそれらを見ており、エルちゃんは待ってるのが暇なのか空を見上げていた。
魔理沙「なー、希彦。お前はこの異変の事どう思ってる?」
希彦「どうと言われてましても・・・。まだここに慣れてないのでわかりませんね」
魔理沙「そうか、なら私と一緒に異変解決しないか?また霊夢達に手柄を取られたくないし・・・それに」
希彦「それに?」
魔理沙「希彦が幻想郷に馴染む為の第一歩、理由はそれだけじゃ駄目か?」
両方の利害が一致している為首を縦に振ってくれるだろう、そんな事を思ってるんだろうな。まぁ私に損はないので受けることにした。
希彦「わかりました、その異変解決とやらを手伝います」
魔理沙「よーし、希彦なら言ってくれると思ったぜ!それじゃあ作戦を説明する・・・ぞ・・・?」
魔理沙さんの開いた口が止まり、そのまま神社の鳥居の方を見つめている。
私も釣られて鳥居の方を見た。そこには多分13歳ぐらいで、傷一つ無い新品と間違える様な綺麗な人形と紙切れを握り締めているボロボロの男の子がいた。
「・・・あ、良かった、魔理沙君、無事だったんだ・・・」
魔理沙「~~~~~~~~~~ッ!大夢!何があったんだ!?おい、しっかりしろよ!」
大夢「う・・・、魔理沙君に渡したい物と伝えたい事があってここに来たんだけど・・・。」
大夢君とやらは自身が持っていた人形と紙切れを魔理沙さんに手渡した。
魔理沙「この人形・・・アリスのじゃないか!それにこの紙は、・・・手紙か?」
受け取った手紙を魔理沙さんは黙々と読み始めた。
そして段々顔が青くなっていく。
魔理沙「う、嘘だろ?アリスがそんな・・・。そんな事って・・・」
その事に気づいたのか霊夢さん達がこちら側にやって来た。
霊夢「ちょっと、何があったのよ・・・。魔理沙!どうしたの!?」
エル「え、えっーと?あ、大夢やっほー」
麗香「やっほー、じゃないわよ馬鹿!それより大夢、貴方どうしてそんな傷だらけなの!?こっちへいらっしゃい、治療してあげるわ。エルも手伝って!」
エル「ふええ!?私治療とかやった事ないよ!?」
麗香さんとエルちゃんは大夢君の治療を始めた。
霊夢さんは魔理沙さんが握っていた手紙に気づき、それを取り上げ目を通した。
霊夢「何よこれ・・・。魔理沙、大丈夫?」
魔理沙「・・・霊夢・・・。私、どうしよう・・・。アリスを助けられなかった・・・」
霊夢「魔理沙のせいじゃないわ。それにこの手紙だけで×んだなんて考えちゃ駄目よ。この異変が終われば・・・きっと助けられるわ」
魔理沙「・・・」
霊夢さんが落とした手紙を取りざっと見てみる。
『マり沙へ
 ドアの向コうにヘンナやつ
 くろいモノコッチヘクる
 もうダメ逃ゲラレない
 お願イ救けテ
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖』
希彦「うわぁ・・・」
思わず声に出してしまう程これは酷い。どうしてこうなったのだろうか。
字は色々混ざってるし乱れている。極めつけは最後の『怖い』の文。これだけは魔力か何かしらで書かれていた。乱れていることには変わりはないが。
希彦「・・・燃やすか」
手から火(正しく言えば異次元を利用し)出して手紙に火をつけた。私にとっては無事でいるかどうかが問題な為、その真偽がわかれば良かったのだ。アリスさんはもう手遅れだろうな。霊夢さんが言ったようにこの異変が終われば多分大丈夫だろう。




麗香「霊夢、大夢の治療終わったわ。しばらく安静にしてれば大丈夫よ、今はエルが見てるわ」
霊夢「・・・だそうよ、魔理沙。何時までも泣いてちゃいけない。アリスと大夢の分まで頑張るじゃないの?」
魔理沙「あぁ・・・そうだな。よし、異変解決に行くとするか!」
「私(僕)も一緒にいっていい?」
そんな声とともにエルちゃんと大夢君がこちらに来た。
麗香「エル、大夢・・・。エルはともかく、大夢、貴方は安静にしてないと・・・」
大夢「大丈夫だよ。それに、魔理沙君を放っておけないよ!避ける事は得意だから!」
麗香「・・・無理しちゃダメよ、霊夢いいわね?」
霊夢「ハァ・・・わかったわ」
希彦「それじゃあ、そろそろ行きます?」

こうして私の異変解決が始まったのだった・・・。

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/10/05 (Sun) 11:25:40

東方影疑惑 第六話
魔理沙「さて、何処から回っていこうか?」
麗香「強いて言うなら
   紅魔館
   守矢神社
   マヨヒガ
   魔法の森
   地霊殿
   冥界
   永遠亭
   人里
このあたりかしら」
霊夢「そうねぇ・・・。マヨヒガはひょいひょい行ける場所じゃないから後回しにしましょ。冥界は幽々子がいるし・・・」
エル「あ、そういや大夢君は魔法の森からここに来たんじゃないの?」
大夢「そうだよ。魔理沙君と一緒に住んでるからね。森はいつもより迷路みたいだったから神社に着くまで凄い時間が掛かったんだ」
希彦「・・・魔法の森って、元々迷いやすい所じゃありませんでした?」
魔法の森はタチの悪い妖精がいて、来た人々にいたずらを仕掛けるそうだ。
大夢「そうなんだけど・・・。何か今日はいつも以上に迷いやすかったんだ、妖怪も多くいたし」
麗香「魔法の森・・・、あ!奏はどうしているのかしら?」
霊夢「流石に奏でもこの異変の事気づ・・・いてないと思うわ、あの男女」
魔理沙「流石霊夢!私達に言えないことを平然と言える!」
エル「そこに痺れるゥ!憧れるゥ!」
希彦「何処で知ったんですかそのネタ」
魔理沙/エル「文が言ってたから(だ)」
ジョ○ョか、久しぶりに見ようかな・・・。今何期だっけ。
大夢「奏さ・・・君は見てないよ?それにヴァイオリンの音も聞こえなかった」
霊夢「アンタも釣られているじゃない」
麗香「それは置いといて・・・。なら魔法の森に行ってみる?奏のこと心配だしね」
魔理沙「なぁ、効率よくするために二手に別れないか?魔法の森に行くAチームとそれ以外の所を探索しに行くBチームの二つだ」
希彦「いいと思いますよ、チーム分けはどうします?」
麗香「Aには魔理沙、希彦、大夢。Bには私、霊夢、エルでいいと思うわ」
霊夢「了解。魔理沙、馬鹿やらかんすじゃないわよ」
魔理沙「勿論さ、お前も気をつけろよ?ま、私にかかればお前らより異変解決してみせ・・・すみません麗香さんちょっとその私の顔ど真ん中に弾幕撃とうしないでください怖いです」
希彦「しかも何気に私にも撃つ体制に入らないでください」



エル「楽しそうだねー、私も入ってこようかな」
大夢「本当麗香さん殺る気満々だなぁ・・・」
霊夢「やっぱりお茶は美味しいわ。異変解決したらまた買っておこっと」


――――――――――――――――――――――――
次からAチームとBチームに分かれて行きます。
Aチームはいつもどおり希彦視点ですが、Bチームは普通の小説みたいにします。
最初はAチームからで。
更新頑張らんとな・・・(遠目

Re: マリス砲の小説 - マリス砲 URL

2014/11/13 (Thu) 17:19:43

東方影疑惑 第六話(Aチーム)
――魔法の森――
希彦「り、り、・・・りんごジュース」
魔理沙「おいそれズルいぞ!」
希彦「ルールに載せられてないからセーフですよ?まだ言ってないし。ほら次魔理沙さんです」
大夢「”す”だよ魔理沙くん」
魔理沙「すってほぼ言い尽くしたよな!?それなのにお前はすで回してくるよな、私に恨みでもあるのか!?」
希彦「なら146回目も魔理沙さんの負けでいいですか?」
大夢「魔理沙君本当しりとり弱いね、今のところ146戦146敗。全敗してるよ?」
魔理沙「お前らいつにない団結力見せてくるな!あれか?お前らグルなのか!?」
希彦「なんのことやら」
大夢「さっぱり」
希彦/大夢「です(だ)ね」


希彦「・・・146回もやったら流石に飽きますよね」
大夢「むしろ146回もしりとりやる人いないと思うんだ」
魔理沙「もうネタ尽きてくるからなぁ・・・」
希彦「で、あんまり言いたくないんですがわたし達迷っ「それ以上言うな希彦」」
大夢「現実を見ようよ魔理沙君。僕ら迷「頼む言わないでくれ大夢」」




~少女達移動中~
Q何分ぐらい迷いましたか?
A60分ぐらい
っていうQ&A出来そうなぐらい迷いました、魔法の森怖いです。
結局、奏さんとやらは見かけなかった。
魔理沙「・・・お、見えてきたぜ!あそこがアリスの家・・・あれ?」
希彦「・・・家、ですか?何かクレーターみたいなの残っていますけど」
大夢「大きな穴しかないね」
目の前にはまさに大きな穴があったのだ。まるで"家一個分"の大きさだ。
魔理沙「おかしいな、確かここにはアリスの家があったはずなんだが」
希彦「本当にあってます?」
魔理沙「いつもパチュリーから借りてきた本をアリスの家の倉庫にこっそり保管しに行っているから間違いないはずだ」
希彦「」
大夢「家の中に本入りきらなくなったもんね、しょうがないね!」
希彦「鬼だ、ここに鬼がいる」
本はともかくここに家があったならアリスさん本人はどこに行ったのだろうか。
そんな私達を木の陰からこっそり見ているいる人物がいることも、
今の私達が知るはずもなくて。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今回ギャグ回、後更新遅くてすみませんでしたッ!
絶「この小説は、更新が遅く、ギャグ回も含まれます。・・・遅すぎ、10点」
御免ね絶ちゃんprpr
絶「僕に構う暇があるなら7話書いてはよ更新しろや!答えは聞いてないっ!」

Re: マリス砲の小説 - マリス砲 URL

2014/11/17 (Mon) 21:33:49

東方影疑惑 第7話 (アリスside)

私の名前はアリス・マーガトロイド、ごく一般的な魔法使い。
今日は家で魔理沙撃退用装置を製作していたはずだったけど・・・。何処かしらここ?
あたり一面真っ黒で、色がついているのは私ぐらい。
誰かが私をこんなところに誘拐?それにしては人形達もいるからありえない。
"何かあった"気がするけど、思い出せない。まるでそこの部分の記憶だけが抜け落ちたよう。
アリス「・・・頭が痛いわ。本当何があったんだっけ・・・?」
魔法でこんな空間を作っているのかと思ったけどそれにしては魔力が感じられない。
かと言って霊力でこれだけの空間を作る?できないこともないがそれをやると霊力があっという間に尽きてしまう。
アリス「ここで考えていても、仕方ない、か」
人形を操作してみる、いつもどおりの感触だった。私の周りを周回させるように人形を動かしつつもとりあえず前を見て進んでいく。
アリス「・・・誰が私をこんなところに?ストーカーかしら?それは人形も一緒にいるからありえないか。それにしてもこの空間を作ったのは何処のどいつよ・・・!見つけ次第殺してやる・・・!」
私は魔法使いでもありながら人形使いでもあった。その私を人形と一緒に居させて誘拐している。

―――それは、人形使いである私を、甘く見ているということだ。自分のプライドを傷つけられて怒らない輩がいるだろうか?―――


「―――なら君は、自分のプライドを傷つけられて怒っているんだね?馬鹿みたい」
アリス「・・・は?」
驚いた、何せ私の目の前に少女がいきなり現れたのだから。何処かで見たことある姿だ。
それよりも、


アリス「今、私を、魔法使いを、人形使いを、馬鹿にしたわね?」
「そうだね、本当に馬鹿みたいな自論だよ。自分が甘く見られていないとでも?というかそう見られている時点で、もうプライドなんてどっか行ってるよ」
アリス「貴方の自論もアホらしいわ。そこどいて、私は先に進むの」
「本当に?」
「君は魔法使いだったね?君の知人には人間でありながら魔法が使える子がいたはず」
「魔法使いなんて努力しなくてもなれる人だっている、努力しても報われずに人間のままで死んだ人だっている。あ、努力が報われて魔法使いになった人だっているね」
「君は努力して人間から魔法使いになったんだよね?それは凄いことだと思うよ」
「でもね、元は一緒の人間に、君は魔法使いだというのに」


「勝ったこと、全然ないんだよねぇ?」
アリス「・・・違う!それは・・・」
少女が言ってる事は殆どあっていた。私は最近魔理沙に負け続けているしここしばらく勝ったことなんてなかったのだ。
「魔法使いと人間の中間にいる半端者に、君は勝ったことが殆どない。もう、その時点でプライドなんて無くなってるよね?」
それは君自身のものか魔法使いのものか人形使いのものかは知らないけどねー、と少女は付け加えてその場でクルクル回っている。まるで私がどう答えるかを待っているようだった。
アリス「何で・・・何で私なのよ・・・!私と同じ境遇にいる人なんて世の中には沢山・・・!」
「ありゃ、君は真実から目を背けるんだね?それもありかもしれないね。ただねー、そう現実逃避してもいいことないよ?それにちゃんとした理由だって」
ぷつん・・・。
その時、私の中の何かが切れた。


アリス「・・・五月蝿い!目障りだ、死んでしまえ!お前が言ってることなんて全部・・・!全部・・・!全部・・・嘘!戯言!確証なんてない!勝手に人の気持ちを捏造するなッ!!」
アリス「魔操『リターンイナニメトネス』!!」

スペルカード宣言と共に少女に人形が飛んでいく。後に自爆するのだがそこは目を瞑ろう。
この少女、いやこの糞餓鬼を、私は完膚なきまで叩きのめす。
少女は驚いた表情で、その場から動いていなかった。
ドガァン!!
アリス「勝った・・・!」
その時の私はそう直感していた。何せ人形10体の自爆。いつもより火薬を多めにして正解だった。
しかもこれは弾幕ごっこではない。ただの殺し合いだ。
思わず笑みがこぼれる。自分の中でもかなりの威力だと思う。
しかしその笑みはすぐに剥がれる事になった。

「あれ、何だっけ・・・。あぁそうそうちゃんとした理由あるんだからね!全くいきなり爆発させるなんて酷いなぁ。それでも人間!?ってもう人間じゃなかったか(笑)」
アリス「え・・・何で?何で死んでないのよ・・・?」
可笑しかった、あの爆風受けて耐えれるはずがない生きているわけがない。
「あーまた現実逃避してるね。どれだけ真実から目を背けたいの?それとも真実を知っているからそんなに頭可笑しいの?」
「それでさっきの続き何だけどね、何で君はここに来る前にあんなの作ってたの?下手すればこれ」
少女は私がここに来る前に作っていた物を見せつけてきた。
言われたくない、理解したくない、言うな言うな言うな言うな言うな言うな言うな言うな言うな言うな言うな


「人間に使うと軽く死ぬレベルだよ」
「しかもこれ2~3人分作っているね。あの白黒・・・誰だっけ?ま、白黒で話を進めようか。白黒に近くにいる人物の口封じの為に作ったかな?良く出来てる、大抵の人物には必中するね」
「ねぇ」
「なんでこんなの作ったの?」
少女は笑っていた。
だけど私はそんなの気にしていられなかった。


その言葉は、私を絶望に追い込むには充分だったから。






「行っておいで、絶望は絶対に裏切らない、嘘を吐かない、その事を絶望を操る程度の能力を持つ、この私が保証してあげるからさ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゴメンなさい、長くなりました。
しかもアリスside続くかもしれんね(白目
文才がなくてすみません!すみません!(ジャンピング土下座)

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/11/19 (Wed) 21:04:33

東方影疑惑 第8話 (Aチーム)

あれからどれだけの時間が経っただろうか。いや何時間とか何日もかかった訳ではないけども。
元アリスさん宅(そもそもここにアリスさんの家があったかは知らないけども一応こう言っておく)周辺を探索しているが中々手がかりが見つからない。もうアリスさん失踪したんでいいんじゃないのか(
大夢「ねー魔理沙君、今思えばアリスさんの家が無いから魔理沙君が借りてきた本を入れてた倉庫もないんじゃないかな」
魔理沙「・・・マジか?」
大夢「マジだよ」
魔理沙「ならこの異変が終わったらアリスに請求すれば問題ないんじゃないか?」
大夢「えー」
あの二人は本当に探そうと思っているのか疑わしい。
二人は放っておき家があったであろう穴を覗き込む。
希彦「それにしても・・・本当に大きいですねこの穴」
一言で言うならば、黒い。底があるのかも怪しいぐらいに深いことが予測出来た。
魔理沙「そーいえば地底に行く時もこんな穴通ったな。地底は疲れたぜ、桶妖怪はいるわ土蜘蛛はいるわ橋姫はいるわ。鬼もいたしな」
希彦「鬼の相手は疲れますからね」
魔理沙「根は悪くない奴らなんだけどな」
希彦「扱いが難しいだけなのでは?」
魔理沙「そうかもしれないな」
(・・・地底の異変か、アリスと一緒に解決したんだったな)
大夢「あれ魔理沙君、どうしたの?何か見つけた?」
魔理沙「いや何も見つけていないぜ。というか手がかりが少なすぎる!これじゃあ異変解決出来ないぜ」
魔理沙さんが言ったように、本当に手がかりが少なすぎる。




―――
「ねえ、この本のトリックわかんないんだけど。早く教えなさいよ、トリックを当てないとホワイダニットが明かされないとかどんな嫌がらせよ」
「ホワイダニットは『Whydunit(Why done it)、なぜ犯行に至ったか』、つまり動機。このミステリーはトリックさえわかれば動機もわかりますよ」
「だーかーらー、そのトリックがわかんないのよ!アンタ人の話聞いてる!?」
「・・・ヒントを出しましょうか?手がかりもないのに無闇に探索等をしても意味がありません。そんな場合は過去を振り返るのです。もしかしたら、そこに糸口があるかもしれませんね」
                                              ―――



少し、昔の事を思い出していた。
でも今は、悠長に回想している場合ではない。
考えろ、思い出せ。
『ここに来る前に何があった?誰がいた?』
(「~~~~~~~~~~ッ!大夢!何があったんだ!?おい、しっかりしろよ!」
 「いや私のせいじゃないから!そもそも今日は能力発動しちゃったし」
 「流石に奏でもこの異変の事気づ・・・いてないと思うわ、あの男女」
 「霊夢、大夢の治療終わったわ。しばらく安静にしてれば大丈夫よ、今はエルが見てるわ」)


物事を理解出来るということはとても素晴らしいことだと実感出来た。
もっとも、そんな感情に浸っている場合ではないが。
希彦「・・・ありますよ、手がかり。すぐそこにありました」
大夢「本当!?」
魔理沙「何処にあるんだ?これだけ探していても見つからないのに」
希彦「それはですね」
私は大夢君の方に近づいて行く。
大夢「?」











希彦「大夢君、貴方が手がかりを持っています」

―――――――――――――――――――――――――――
今回もアリスside書かんで本当よかった。
さぁて来週の東方影疑惑は~?の前に、ちょっとここで皆さんに問題です。
大夢君が持っている手がかりとは?ちょっと考えてもらいたいな~程度なので気楽にお考えくださいませ。
わかったら交流スレにてお答えください、皆さんの回答待ってます!

Re: マリス砲の小説 - マリス砲

2014/12/08 (Mon) 20:17:12

東方影疑惑 第9話 (Aチーム)


大夢「えっと・・・。僕手がかりなんて持ってないよ?そんなの持ってた覚えなんてないし」
希彦「あるじゃないですか、貴方が神社に来た時に、持っていたものあったのでしょう?」
魔理沙「あー?あぁ、なるほど!」
どうやら気づいたらしい。
希彦「人形と紙切れ、貴方持っていましたよね?見せていただけますか?」
ちなみに発言した後、私自身が紙切れを燃やしていた事にこの時は気づいていなかった。馬鹿か私。
大夢「・・・・・・」
魔理沙「大夢どうした?まさかここで「神社に人形忘れちゃった」とか言うんじゃないだろうな?」
希彦「魔理沙さんどうしてここで追求してフラグ建設しちゃうんですか!?」
大夢「神社に人形忘れちゃった」
希彦「ほらやっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
絶叫した。何度でも言おう。絶叫した。森は静かだったので良く響いたことだろう。
私は魔理沙さんの首根っこを掴んだ。
希彦「どうしてあそこで追求したんですか!?どうしてあそこで待ってましたと言わんばかりに追求したんですかあああ!?空気読んでくださいよ!KYですか!?」
魔理沙「ちょ、やめ、ぐるしい・・・」
本当に苦しそうなのでここら辺りで手を離す。
この異変が終わったら絶対しばき倒してやろうと思った。
大夢「あ、じゃあ僕神社に取りに戻ってくるよ!だから二人はアリスさんの事探すことに集中してて」
魔理沙「おう、気をつけて行けよ!」
希彦「っていうか一人で大丈夫何ですか?いくら避ける事に自身があって・・・も」
嫌な予感。拭いきれない違和感。
"何かがおかしい"。








その違和感を、ぶつけてみる事にした。
希彦「ねぇ・・・大夢君。何でそんなに"平常でいられる"んですか?」
魔理沙「え・・・?」
希彦「だって、おかしいと思いませんか?一度ボロボロになって魔法の森から神社まで来たんですよ?ならば私達と取りに行くべきです」
大夢「あ、あの時は油断してただけで!」
魔理沙「おい希彦、お前何言って」
希彦「それにちょっと気になるところがありました。貴方が持ってきた人形、外傷が一つもなかったんです。貴方がボロボロになってるんだから人形に傷一つ着いていても不思議ではありません。そしてこれはあくまで私の推測に過ぎませんが・・・」






希彦「貴方、大夢君ではありませんね?」
大夢「・・・・・・・・・!」
希彦「それともう一つ。人形の事です。本当はあれ、処分したんじゃないですか?悪いことは言いません、正直に話してください」



大夢?「・・・五月蝿い」
魔理沙「!?」
大夢?「五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!」


大夢?「ああそうだよ!私は大夢じゃない!あの手紙だって私自身が書いた!大事な人形だって勘付かられないように処分だってした!全部上手くいってさァ!それなのにお前に邪魔された!もっと上手くいけばそこの魔法使いだって殺せた!」
希彦「・・・やはり貴方でしたか、アリスさん」
じゅわぁ・・・
大夢君だったものが溶けていく。
黒と紫が入り混じったようなものが広がっていく。
けれどもそれらはまた集まって人の形を構成していった。それは何処か見覚えある姿で。
魔理沙「ひっ・・・。アリス・・・?嘘だろ、あんなのアリス何かじゃない・・・!」
姿は不完全だけども、その姿はアリスさんのものだ。けど、体の所々は人形の繋ぎ目である球体関節で出来ている。
アリスさん(?)は魔理沙さんに近づいていく。
魔理沙「く、来るなぁ!お前何か・・・お前なんか・・・」
希彦「ッ!魔理沙さん、お願い、それ以上言わないで!」
止めに入ったがもう遅い。
魔理沙「お前なんか、アリスじゃない!!アリスの手で私を触るな!アリスの皮を被った化物め!」
アリスさんは止まった。
魔理沙「あれはアリスじゃないあれはアリスじゃないあれはアリスじゃないアリスじゃないアリスじゃない」
魔理沙(だって、アリスは、もっと綺麗で優しくて、私の、私の・・・)




―――
「まーりさっ。何してるの?」
「ん?いや新しいキノコを見つけたんだ。これで新しい魔法が作れないかなと思ってな。次こそは霊夢に勝つんだぜ」
「へぇ・・・。私もそういう事しないとね。ここしばらく負け続けだもの。主に誰かさんのせいで」
「うっ。でもアリスとやると結構ギリギリなんだぜ?アリスが新しい魔法を作ったら私負けると思う」
「そっか。・・・ね、魔理沙。私、ね。ずっと言いたい事あるの」
「お、何だ?」
「・・・これからも、私と、親友で、いてくれる、かな?」
「おいおい何言ってんだ。私とアリスはずっと親友だぜ」
「・・・ありがとう魔理沙。


・・・大好き(ボソッ」
ぎゅう。

「うわ!いきなり抱きついてくるなよ。まったく」
「・・・ふふっ」
                                            ―――









アリス「あのね、魔理沙、私、ね。貴方の事がずっと前から、大っきらいだったわ」


その声はアリスさん自身のもので、
彼女は笑顔で、彼女は泣いていて、私は無表情で、
その言葉を己の耳でしっかりと聞いた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
最近話が訳わからん話になってる気がする、つーか訳わかんねー^p^
読んでくれる皆さんに失礼過ぎるよな、うんそうだきっとそうに違いない
Bチームの方に中々入れんぜよ・・・、いつになったらAチーム終わるんや・・・。
そういえば(どうでもいいと思うけど)8話の手がかりなんですけど、答えは大夢君が持っていたお人形でしたー(8888
正解者には抽選で絶ちゃんがおうち訪問しにきまーす(大嘘)





Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/02/28 (Sat) 21:31:35

東方影疑惑 第10話 (Aチーム)


アリス「・・・」
彼女は無言で弾幕を撃ってきた。
弾幕ごっこをする気もない、ただ、殺し合う為の弾幕。
その弾幕が向かう先は―――魔理沙さんだった。
当の本人は避ける気がないのか、避ける体力も気力もないのか、あっけなく被弾したする。
弾幕はまだまだ続く。恐らく、どちらかが倒れるまで。
けど終わりは、意外な所で終わるのだった。
ゴゴゴゴゴ・・・。
そんな音と共に、地面が揺れ始めた。
流石にその事に魔理沙さんも驚いたのか、辺りをキョロキョロしている。アリスさんだけが異様に落ち着いていた。
アリス「・・・。時間のようね、それじゃあね。魔理沙」
こちらに背を向け彼女は行ってしまった。
行ったではなく、消えていったの方が正しいかもしれない。
魔理沙さんは、ポカンとしておりその場から動かなかった。目はアリスさんが居た場所をずっと見ていた。
しかしこの場所にずっといる訳にもいかない。
私は、動かない魔理沙さんを引きずる感じでこの場を後にするのだった。

~少女移動中~
『in 魔理沙の家』
希彦「魔理沙さん、起きてください。貴方の家ですよ」
ぺちぺちと、頬を叩いてみるがあまり反応がなかった。
扉の前にたちドアノブを捻ってみる。
ガチャリという心地よい音が聞こえた。鍵をかけてないあたり、かなり不用心だ。
キィ・・・。
自分なりにはこんな感じにドアが開く音は嫌いではなかった。静かでいい音だと思う。
その静かでいい音は、盛大にぶち壊されるのであったが。

「さぁ!次の曲いくわよーっ!」
「・・・次は、私がメイン」
「ほらほら、奏ちゃんも一緒にやりましょう!」
「あ、いいの?じゃあ喜んでやらせてもらおうかな。あとちゃん付けやめて」
「や、やめて・・・。これ以上は僕の脳と耳が可笑しくなりそう」


私は何も見なかった事にした。
バタンッ。
「あれ?お客さんかな?」
扉がいきなり開かれた。
私は扉の前に立ちドアノブをずっと握っていたが為、開いた時と同時に壁に叩きつけられた。
目をぐるぐると回し、私はそっと意識を手放した。

――――――――――――
奏「そっか・・・そんな事があったんだね・・・」
コト、という音と共にコップが置かれる。
この場にいる全員― 奏、プリズムリバー三姉妹、大夢 ―、魔理沙から事の顛末を聞いたのだ。
大夢「魔理沙君、大丈夫・・・?」
ルナサ「・・・辛いなら無理しない方がいい」
フォローを入れるも、話を終えると魔理沙は何も喋らない。ずっと俯いているままである。
リリカ「魔理沙ぁ~・・・何か言ってよ、言ってくれないと私達、どうすればいいのか、わかんないよ」
リリカは涙目になっている。
ちなみにメルランはかなりKYだからということで気絶している。ご愁傷様としか言い様がなかった。
魔理沙「ゴメン・・・。今だけ、そっとしておいてくれ」
ルナサ「・・・何処に行くの?」
ややぶっきらぼうに、「外」と答えて魔理沙は出て行った。
残った4人は誰も口を開かない。
しかしその目線は魔理沙が先ほどまで座っていた椅子に注がれている。
椅子の上には、ミニ八卦炉と魔理沙のスペルカード、そしてトレードマークの帽子が寂しそうに置かれていた。

――――――――――――
魔理沙「私、何がしたかったんだろう・・・」
家から出たあと魔理沙はドアの前で、ぺたんと座り込んだ。
___どうしてアリスはああなってしまったのだろうか?
思い返せば、原因などいくらでもわかる。それを自分は、なかったことにして、見なかったことにしていたのだ。
魔理沙「・・・どうすればいいんだろ」
いくら呟いても何も変わらない。時間だけが虚しく過ぎていく。
誰かに相談してみようかと思ったが、それは駄目と言うように首を振った。
しばし考えたあと、魔理沙は森の中を歩くことにした。
本来なら魔法の森を一人で彷徨くのは危険な行為である。
幻惑を見せる茸、凶暴な妖怪、得体の知れない病原体。それらを知っているのに一人で森に行くのはただの自殺志願者と同じである。
でも何故か、魔法の森は静かだった。
浄化でもされたのかのように、何もいなかった。
魔理沙はそれが良かったのか気に入ったのかはわからないが、こういう魔法の森も新鮮だと思い、歩を進めてた。
いくら見ても面白いぐらいに生き物がいなかった。
辺りを見回しても木しかなかった。
後ろを振り向いても何もついては来てなかった。
上を見上げても黒い空しかなかった。
森は変わってはいない。ただ、いつも居た存在がいない。それだけで、ガラリと変わってしまう。
そしていつの間にか、自分の家に戻ってきていた。一周してたらしい。
帰ってきた魔理沙の目には、見慣れない、けどれもいつも見ていたものが映っていた。
拾い上げて、埃を叩いてやる。
まじまじと観察しなくても、わかった。
相棒とも、親友とも、ライバルとも、仲間とも言える存在の、大事な人の、人形。
何故ここにあるかわからなかった。
だけど、大事なことをわかったような気がした。

――――――――――――
「3だよー」
「4!」
「・・・6」
「Aっ!」
「2を出すね」
「ならジョーカーで」
場にたった二枚しかない最強のカードが置かれ、全員の目が一人に注がれる。
当の少女は視線など気にせずカードゲームに集中する。
「あ、私からですか。5」
「飛ばされた・・・」
「うー、7!」
「・・・9」
「Jで一時強さ逆転しまーすっ!」
「えー、んーと、じゃあ10」
「ジョーカー」
「・・・勝負は投げ捨てるものじゃ、ない」
「いくら手札が悪くてもやけくそになっちゃ駄目だと思うけど・・・」
彼女たちは知らない、ここから地獄の宴が始まることを。
「シークエンスいきますよー。スペードの10、J、Q、K、A、ジョーカー」
「えええっ!!?なんで第三のジョーカーがあるの~!?」
「トリプルジョーカー」
「ちょっと!ちょっと待ってよ!ジョーカーが三枚もあるわけないよね!?」
「ジョーカー革命ージョーカー革命返しー。ジョーカー。ジョーカー。ジョォォォォォカァァァァ!!はい、たまに2」
「もう捨て札がジョーカーしか見えなくなっちゃった・・・」
「きりりん大人げないよー。もう少し手加減してよー。これだと友達無くしちゃうよ?」
「・・・勝負に手加減なんざぁいりません。あるのは、惨めな敗者と、圧倒的な勝者だけですから。故に私はその自論に乗っ取り勝負事においては手加減しませんよ。ですがこれと友達が減ったのは無関係です」
「結局減ってるじゃん」
鋭いツッコミが入る。
しばしの沈黙のあと、全員が笑いだした。
「うーん。それにしても大富豪飽きましたね。次なにやります?」
「それよか僕は、魔理沙君が気になる、かな」
何気ない大夢の一言だったが、希彦の顔が妙に険しくなる。
「あー・・・。どこほっつき歩いているんでしょうね」
頭をぼりぼりとかいて、目を逸らす希彦。
さっきまで外に居た彼女なら知っていると思っていた大夢は落ち込んでしまった。
「でも、そろそろ希彦・・・ちゃんでいいのかな。行かないといけないんだよね?」
「そうですけど・・・。あ、ぶっちゃけ奏さんと大夢さんが来てくれれば魔理沙さんいなくてもいけ」
ガチャ。バタンッ。
「る気が・・・」
ギギギと、油の切れたロボットのように希彦は扉の方に体を向ける。
そこには当然のごとく魔理沙がいた。
顔は笑っているが目は笑っていなかった。
そして椅子に歩み寄り八卦炉を手に取る。
「ま、魔理沙さんえーっとさっきのは違うんですええ本当ですよ私のリボンに誓って言い切れますですからさっきの発言は気にしちゃいけませんよあれ何でこちらに八卦炉を振りかぶっているんですかそれはあくまでレーザーを出す道具であって鈍器にはなりませんよってあぶあぶあぶあぶあぶらすたぁっ!?」
ごっ。
魔理沙はミニ八卦炉を希彦の頭の上に思い切って振りかぶった。
「これはきりりんの自業自得だよねー」
「魔理沙君が起こるのも無理ないよ」
「せめて早めに発言しておけば良かったのに」
「・・・希彦、ドンマイ」
無言で魔理沙は椅子の上にあったスペルカードを自分のポケットに入れた。
「・・・、覚悟はお決まりですか?」
「うん」
さっきのまでのおふざけはなんだったのか、頭をさすりながら真剣な顔をする希彦。
それに相槌をうち、そして、帽子を被る。
いつも以上に気合が入っているな、と魔理沙と一緒に暮らしている大夢はそう思った。
「・・・大夢、奏、ついて来てくれ。きっとこの異変は、・・・悔しいが私だけじゃ解決出来そうにないからな」
「勿論いいよ。僕だって、こんな異変見過ごせないしね」
「あんまり役に立てないかもしれないけど、魔理沙君が行くなら僕だって!」
「お前ら三姉妹はここに居とけ。外に出るよりマシなはずだ」
特に異論を唱えなかった。かわりに三人の目は「頑張れ」と語っていた。
「それじゃ、そろそろ行きますか?博麗神社に」
「ああ。・・・そうだ、ちょっと待っててくれ」
先ほど拾った人形を、一番まともな棚の上に置く。
「うん、これでいいかな。・・・よし、行こうぜ」
扉の方に向かう4人。
ガチャ。バタンッ。
いつもより扉の音が鮮明に響き渡った。

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/03/07 (Sat) 13:12:02

東方影疑惑 第11話

『in 霧の湖』
幻想郷の各地に起きた地震。
それは霧の湖でも起きていた。
水は全て凍っており、そこに大きな穴が空いていた。
穴の前には氷精と、氷の塊が山済みになっている。
「うーん・・・。ここらにいる奴ら全員凍らせちゃったけど、入れるのが大変だなぁ・・・。どうしよう」
何も思いつかないので、とりあえず手作業で穴に入れることにした。
重くはなかったが、数が数なので時間がどうしてもかかってしまう。
「・・・そうだ!この塊全部押しちゃえばいいんだ!あたいったら天才ね!」
名案だと言わんばかりにぴょんぴょんとその場で跳ねる。
その勢いのまま、塊を蹴った。
塊が穴に落ちていく。
その塊の中には、緑の綺麗なサイドテールの妖精がいた。
しかし氷精は、塊に見向きもせずに別の塊を押す作業をしていた。


『in 太陽の畑」
溢れんばかりの、向日葵。
それらを管理し、世話をする少女がいた。
彼女は常に笑顔である。
が、今日はいつもより機嫌が悪そうである。
異変の影響で、太陽が見えなくなり、さらには地震の影響もあったせいで向日葵が十数本、畑から無くなってしまった。
彼女は何より花が好きであり、中でも向日葵はお気に入りの花だったのでこんな事があれば機嫌を悪くするのも無理はなかった。
「肥料が足りないのかしら。それとも水やりが駄目だったのかしら。『太陽は出ている』のにねぇ・・・」
少女はそう言うと、畑の下の方を見た。
そこには、鈴蘭の花を持つ人形の残骸があった。
「もっと根元の近くに入れてみましょうか」
グリグリと、人形を踏み見えなくなるまで土の中に入れ、よし、と満足気に少女は別の畑を見に行った。


『in 妖怪の山』
「誰か・・・誰か助けてぇぇぇぇぇぇ!!」
響き渡る悲鳴。
樹海を駆け回る少女がいた。
見るにも悲惨な姿で、走っていた。
両手首は折れ、歯は何本か折れており、右目の眼球が無く血がポタポタと落ちている。
そして自身のトレードマークである、漆黒の翼も折れていた。
目を抑えようにも、手は使えない。飛ぼうにも、翼は使えない。
後ろを向くと、すぐに前を向き走るスピードを上げた。
そんな少女を追いかける人影がいた。
「嫌だ・・・来ないで、来ないでよぉぉぉぉ!!」
いつもの彼女をよく知る人物が、今の彼女を見ると確実に驚くであろう。
それだけ、彼女は追い詰められていた。
「椛ぃ・・・はたてぇ・・・」
友人たちの名を呼んでも、――にやられてしまった。
「――っ!?」
何かに躓いてしまった。
よく見ると、何かの骨に見える。
気色悪かったので急いで立ち上がってまえを向いた。
絶望に歪んでいた顔は、さらに絶望に染まることになった。


「あーやーさーん・・・。つーかーまーえーた・・・♪」



『in 永遠亭』
「姫様!?何処におられるのですか!?姫様・・・!」
長い長い廊下を走り、自身の主を呼ぶ銀髪の女性がいた。
部下達を総動員させて探しているのだが、まだ見つからない。
「竹林にもいない、部屋にもいない、倉にもいなかった・・・。こんな時に華緋がいれば・・・」
何をを思ったのか、彼女はいきなり首を掻きだした。
首をガリガリ、と爪で引っ掻いている様子は狂人にも見えた。
「師匠ー?こっちにはいませんでしたー。そちらはどうでしたー?」
「ここまえで探していないとなるとー、もう永遠亭にいないんじゃない?」
そこに、二人の兎がやってきた。兎達は女性がやっている行為を特に気にしてないようである。
「師匠。別に姫様なんていなくても変わりはしませんし探すのやめませんか?」
女性はその言葉で兎達がいることに気づき、首を引っ掻く手を止めた。
「・・・そうね。別にどうでもいいわね。ゴメンなさいね、変なことに付き合ってもらって・・・。お詫びになるかわからないけど・・・、今度、新しく出来た里の洋菓子店に行きましょう?」
「あっ、それ知ってます!最近出来たお店で、とっても美味しいって里の人に聞きました」
「へぇ・・・。KYで最近の流行も知らない鈴仙が知ってるぐらいだから、けっこー有名な所なんだ」
「は?てゐ、それどういう意味よ」
「自分で考えたらー?」
「二人共喧嘩しないの。喧嘩するなら行くのは無しよ」
「ちょっ!それはないですよ師匠~!」
軽快な笑い声が永遠亭に響く。
三人は話終わったあと廊下を歩きながらまた話を始めた。
「そういえば、師匠。その手に持ってるゴミ、捨てないんですか?」
「あー・・・。すっかり忘れてたわ」
「もうここらへんに捨てちゃえばー?」
そうね、と女性は頷き、手に持っていた肉塊を庭に放り捨てた。



―――――――――――――――
『in ??』

「ふむ・・・。次の展開はどうなるでしょうか。実に興味深いです」
そう言うと少女は、先ほどまで開いていたページにしおりを挟み本を閉じた。
「"あの子"がいないとここも寂しくなりますね・・・。本も泣いています」
泣いている、といっても笑顔である少女は、どこから出したのかティーカップに紅茶を注ぎ始めた。
「まぁ送り出したのは私ですし、文句は言えませんよね」
チラリ、と閉じた本を見る。
真っ黒で、何も書かれていない、表紙。
パッと見魔術書かと思われるその本は、少女にとっては未知の体験である。
「あの子のおかげで私は退屈しないからむしろ感謝、ですね」
うふふ、とさっきよりもいい笑顔をこぼし、紅茶を注ぎ終えた。
「でもこの本、ページ数がわからないのが欠点ですよ・・・。次のページを開ければいきなり巨大隕石が落ちてきて全員死亡してEND、なんてことにならなきゃいいですけど」
紅茶をグイっと一気に飲み、カップを机の上に置いた。
「途中であの子が死んだらどうしましょうか。主人公が死んだら元も子もないですよね。でもまあ・・・」
本を手に取り、しおりを挟み込んだページを開く。
「死んだら死んだで、次の子に頑張ってもらいましょう」

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/04/14 (Tue) 19:43:30

東方影疑惑 第12話 (Bチーム)

魔理沙達が飛び去ったあと、霊夢達は何処に行くか思案していた。
「やっぱり・・・紅魔館からかしら。クロやレミリアもいるし」
「待って霊夢、人里の方を先に見に行きましょう。慧音とかが異変の影響を受けていたら大変なことになるわよ」
「でも母さん、それ紅魔館だって同じ事が言えるわ。紅魔館に行くならついでにレオナを仲間に出来るし、零夜も居ると思うの」
「人里の皆が危険な目にあっていたら幻想郷にも影響が出るはずよ」
霊夢と麗香は、紅魔館か人里、どちらを先に行くのか言い争っている。
エルはあの中に入ったら確実に巻き込まれると思い、少し離れた所で地面に石で絵を描いていた。
描いている最中何か、賽銭箱の方に小さい光が見えた。
そちらの方に興味を示したのか、石を放り投げ賽銭箱の中を見てみる。手を伸ばせば届きそうな距離に、キラキラと光っている黒い宝石みたいな物があった。
「なんだろう、コレ」
首を傾げながら、じっくりと観察する。
大きさは大体、縦横3cm程の宝石のようだった。そして、僅かだが光を放っているようにも見える。
当然エルにはこれの用途がわからなかった。だけど持っていて気分が良いと言えるものではなかった。

――人の失望感や罪悪感、劣等感が入り混じっている様な――

「なんかヤダ・・・」
エルはそう言うと宝石を林の方に投げ、霊夢達の元に戻っていった。
言い争いをしてないところを見ると、どうやら話し合いは終わったようだ。
「あ、エル。アンタは母さんと一緒に人里に行って。私は紅魔館に行くから」
「用意が出来たらすぐにね。ところでさっき何かあったの?もしかして賽銭箱にお金が入ってた、とか?」
「ちょっとエルそれ本当!?」
「えっ、お金なんか入ってなかったよ」
「あっ、そう・・・」
明らかに期待していたのであろう、霊夢はがっくりと肩を落とした。
「じゃあ霊夢、私達は先に行くわ。行くわよ、エル!」
「うんっ!って、麗香早いよ~!」
そう言うと麗香とエルは、肩を落としている霊夢を残して飛び去っていった。途中でエルがこけかけた。
二人が飛び去ったのを見届けてから、霊夢は神社境内を見回した。
「いるのはわかっているのよ。・・・出てきなさい、レオナ」
言い終わるのと同時に林の方へ弾幕を放つ。ひゃぁ!、という声が聞こえた。
「ちょっと!予備動作無しとかずるいわよ!」
林の中から出てきたのは真紅の髪と目を持った少女であった。
「いつ気づいたのよ?」
「最初から・・・というより、大夢が来る前ぐらいかしら」
「あの傷だらけの子ね」
「それより、この空レオナがやったのかし「私じゃないわ、天人よ」天人・・・ああ、天子か。ん、天子?」
レオナの意外な返答に驚き、霊夢は目を見開いた。
「何よその、「お前がやったんじゃないのか」っていう目は!」
「だってあんなのやる奴レオナぐらいしかいないじゃない」
「うっ・・・(ひ、否定できない・・・!)」
「で、何で来たのよ?」
「私も異変解決に行くわよ」
そう言われ、霊夢は首が地面と並行になるぐらいに傾げた。
「なにか変なこと言ったかしら?」
「アンタが行く理由もメリットもないじゃない。この異変は私達が解決するわ」
「理由ならあるわよ。・・・今は言えないけど」
「ふーん、まぁいいか。邪魔しないなら、ね」
興味なそさうに霊夢は言ったが、ちょっとした疑問が生まれた。
(レオナがやるならわかるけど何で天子が・・・?前の異変で懲りた筈だし、紫や萃香、あと衣久も黙ってないわよね・・・)
「・・・霊夢?」
「・・・ゴメン、ちょっと考えことしてた」
今度はレオナが首を傾げた。流石に地面と並行になるほど傾げてはいない。
「ま、そろそろ行きましょうかね・・・。母さんはともかく、魔理沙達に遅れを取るわけにはいかないのよ」
「負けず嫌いよね、貴方」
「そういうのは魔理沙に言ってやりなさいよ」
「それもそうね」

こうして二人は飛び去っていった。
林の中で何かが光ったような気がした。



―――――――――――――――――――――
自分伏線大好きです、伏線うま日記書けると思います。
伏線
うま

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/04/17 (Fri) 21:16:45

東方影疑惑 第13話 (Bチーム)

in 人里
麗香とエルが人里に着くと、思わず目を背けたくなる光景があった。
そこには、誰のものかわからない骨、腐敗が進行している人肉、見渡す限りの血。
明らかに異常。明らかに異質。
常人ならば見ただけで気絶しているだろう。
進めば進むほど、量も増えてくる。
「うぅ・・・」
麗香が隣にいるエルを見ると、口と鼻を手で覆っている。異臭に耐え切れなくなったのだろう。
「確かにこれはキツイわね・・・。エル、大丈夫?」
「う、ん・・・。なんとか・・・」
そう言ってるが顔は心なしか青ざめているようだった。
何処かに落ち着ける場所はないかと思い、周囲を見回すが、血肉や骨しかない。
仕方ないと思い、麗香は負担を減らそうと考えおんぶでもするかとエルの方に近づいた。
その時。
突如耳を疑うかのような、轟音が響き渡った。
―――地震である。
咄嗟に麗香はエルを背負い、先程まで居た入口まで駆け抜けた。
一瞬後ろの方を見て麗香は顔色を変え、スピードを上げた。
「エル、しっかり捕まってなさい!麗符『咲き誇る赤い華』!」
スペルカードを宣言し、周りの血肉等を片付けていく。
麗香とエルは入口まで戻ってきた。
時間にして、数十秒ぐらいだろうか。
たったそれだけの時間しかたっていないが、麗香達にとっては数時間のようにも感じられた。
「家とか崩れちゃったかな・・・?」
そう言うのも無理はなかった。人里はあっという間に瓦礫の山になったのだから。瓦礫の下には血肉が溢れている箇所や骨らしき残骸も見つかった。
「これじゃあ人里の探索は無理かしら・・・。大人しく紅魔館に・・・」
麗香の顔はとても悲しそうであった。
麗香は、霊夢の前の先代―――先代博麗の巫女―――にあたり、人里の住人達から妖怪退治等を引き受け、妖怪を退治し、感謝されていた。小さい子供達に「ありがとう」と言われた。だからこそ、麗香は紅魔館より人里へ行こうと言っていたのだ。自身を頼ってくれ、そして支えてくれた、人里の住人達を守るために。
エルは、そんな麗香の心中を察知していた。しばらく封印されていた妖怪であるエルだったが、現博麗の巫女である霊夢と共に異変解決へ趣き、そして解決した。解決したあとは霊夢は沢山の人に感謝されており、エルもその場に立ち会い感謝されたことがある。だからこそ、麗香の気持ちがよくわかった。
「麗香、行こ」
「・・・そうね、行きましょうか。早く紅魔館へ行かないとね・・・」
「違うよ」
「・・・え?」
エルの予想外な返答に、麗香はポカンとする。
「紅魔館は霊夢に任せて、私達はここを探索しよう」
「でもこんなに崩れていたら無事な人なんて・・・」
「まだそう決まってない。奥の方にもいるかもしれないよ」
「もし、居たとしても・・・そこまで行けるかどうか・・・」
「私達、飛べるじゃん」
エルは麗香を真正面から見据えていた。
待っているのだ、麗香がどう答えるかを。
「麗香、諦めたら・・・そこで終わっちゃうよ。麗香は、何もしないまま終わらないよね?麗香なら、きっと出来る。私はそう信じてるよ」

だって麗香は、
博麗の巫女だもん


「あ・・・」
ぽた、ぽたと麗香の目から涙が出てきた。
瞳は正面にいる少女を捉えていた。
「そうね・・・そうだったわね・・・」
今は博麗の神でも、博麗の巫女だったことには変わりなかった。現在の巫女でなくても、自分に出来ることはあるはずだ。
「ありがとう・・・エル・・・・・・!」
麗香が泣くことに驚いたのかエルは、パニックになりなんとかしようとした所を、麗香に止められた。
しばらくパニックになっていたが、ついさっき言った自分の言葉を思い出してしまい、エルは耳まで真っ赤になった。
「・・・どういたしまして!」
人里の入口にいる、一人の妖怪の少女と一人の博麗の神。
そんな二人を、瓦礫の影から紫の瞳と金色の瞳が覗いていた。
――――――――――――――――――――――――
人形さんとちょこさんゴメンなさい・・・!麗香さんとエルちゃんに何かフラグ立ったような気がしますがそんなつもりで自分は書いてませんので・・・。もしそう思われていたのなら申し訳ございません・・・。
さぁて次回の影疑惑は~?とりあえず伏線色々と回収しようと思います。意味なく伏線を張ってたわけじゃないのです、本当なのです!だから見捨てないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/04/22 (Wed) 20:21:27

東方影疑惑 第14話 (Bチーム)

in 人里の中心地区の家の屋根
「いや~。それにしてもお嬢も面白いこと考えたもんだね。僕の中でも五本指に入るぐらいに面白いや」
カチャカチャと忙しなく指を動かし何かの機械を改造している青年(?)が言う。それに隣にいる女性(?)が相槌をうつ。
「・・・あー?んー・・・?まぁ、そーだな・・・」
「お、葵が賞賛するなんて珍しいね。なに?ツンデレ属性とかに目覚めた?」
「・・・うっせ、バーカ。×ね。イライラするから殴らせろ。たまにはお前も殴りたい」
「イライラしてるの?カルシウム足りてる?ほら骨食べなよ骨ー。誰かの」
「いらねぇ・・・。しかも何かベタベタしてるじゃねぇか・・・」
得体の知れない液体がかかった骨を差し出され、葵と言われた女性は青年の方へ押し返した。
「骨とか誰が食べるんだよ・・・。そういや、そっちはどうなってんだ?もう出来るのか、蓮?」
「そーだねー、大体ねー、98%程度かな?元が結構出来てたからそんなに時間はかからないっぽい。おし、出来た」
「どれ・・・。うわ、趣味わりぃなお前・・・。俺でもそれはねーよ・・・。あの餓鬼の方がまだマシだぞ・・・」
覗き込んだ葵に暴言を吐かれ、蓮と呼ばれた青年は、ぶー、と頬を膨らませた。
そんな蓮を放置し、葵はポケットから時計を取り出した。
「あ、もしかしてそろそろ?やっばい、お嬢になんて言われるかなぁ」
「・・・とりあえず避難は無理そうだな。このポイントは影響を受けないようになってるから問題ない・・・か?」
その直後、地面が揺れだした。
周囲の建築物が豪快な音を鳴らし、崩れていく。
そして、見る見るうちに、瓦礫の山が出来ていた。
「おー、こりゃあ爽快だねぇ。これが最近の人が言う「最高にハイってやつだァァァァァァァ!!」ってのかな?」
「・・・何処情報だよ」
「お嬢から。最近よく出掛けていると思ったのはこれが原因なんだねー。薬使わずとも気分が高揚するっていいねぇ、青春だよねぇ」
「・・・俺には危ないやつにしか見えないが」
「えっ」
「えっ」
そんな二人に忍び寄る影があった。
なぁん。
黒猫である。
葵は、興味がないのか面倒くさいのか人里の入口の方の空を見ていた。蓮は、目を輝かせ猫に抱きついた。
「あっ!お帰りー!大丈夫だったー!?肉球ぷにぷにー。こっちはねー、ちゃんと完成させたよー!」
嬉しくて堪らないのか、猫に頬ずりする蓮。それを拒否するかの如く、猫は蓮が着けてる面に爪をガリガリと引っかき始めた。
「うわわっ!?ちょ、ちょっと引っ掻くのはやめてー!これ高いんだからね!」
「・・・安物だったろ。嘘乙」
「僕の懐的には充分高かったのっ!って見てないで止めさせてー!」
「・・・ソイツにとってはお前の面は砥石のつもりなんだよ。良かったな、大して役に立たない面がそんなところで使われるんだ。喜べ」
面倒事が増えるのが嫌なのか、葵は蓮のHELPを適当に流した。
があがあ。
汚いダミ声が聞こえる。
鴉である。
葵はそれを待ち望んだかのように、鴉を腕に乗せた。
「・・・おー、ようやく来たか。どうだ首尾は?ほう・・・。なるほどな、大体わかった。悪いが引き続き偵察、頼んだぞ。・・・ほら、肉食え肉」
労いのつもりで、辺りを飛び散っている肉片を摘み鴉に食べさせてる。どうやら満足したらしく、元気よく飛び去っていった。
「うぅ・・・貴重な面が・・・」
どうやら蓮の方も終わったらしく、『哀』の面を着けている。
「・・・何処が貴重な面だよ阿呆。さっさとどうなったのか言え」
「装置を何匹かに持って行ってもらってテストってとこかなー。入口近くとー、中心地っていうかここ?とー、後はー」
チラッ、と蓮の目線の先には、妖怪や人の血肉や骨が散乱している中心地であった。現在、数人の異変解決者と妖怪が戦闘している最中であった。
「・・・ほぼここじゃねぇか。素直に入口近くとここだけって言えよ。脳無しかお前は」
「厳密に言えばあそこは北地区に分類されるっぽいよー。そーいうそっちは?」
「・・・博麗の神と妖怪の少女が入口付近にいるそうだ。もう少ししたらここに来るだろうな。残念ながら入口での装置の実験は期待出来なさそうだ」
「そっかー。んー、その二人が来たら先生やられちゃうよね。今のところは有利だけど、どうせ形勢逆転されちゃうしなー。帰っちゃう?」
「・・・俺らはここに、装置の完成と実験を兼ねて来てるんだ。最低でも一回は実験しないといけない。・・・やらずに帰ったらあの餓鬼に何されるかわからん。妖怪でも人間でも何でもいい、データを取ってから帰るぞ。俺ら以外の誰かが罠に掛かればそれで終了」
「そうだったねー。・・・チッ」
そんな二人が見つめる中心地。
状況は変わっていなかった。


in 人里中心地区
「あぁもう!なんでこんなに妖怪が湧いているのよっ・・・!?紅葉『紅く染まりゆく葉』!」
いつもは大人しい華緋が珍しく声を荒らげていた。
「なんでことに・・・。今日はツイてないなぁ・・・って言ってられませんよね。弓符『アンダー・レイ』」
ぼやきつつもしっかりと敵を排除していく零夜。
「数が多すぎじゃね!?でも、雑魚がいくら束になっても俺らには勝てねーよ!罠符『ブラフの上にも3兆年』!」
ハルはお得意の鋏を使いつつ敵を薙ぎ払っていく。
そもそも、何故このような事が起きたのだろうか。
華緋は、新しく出来た甘味屋に。
零夜は、紅魔館からお使いに。
ハルは、その場のノリで。
偶々、三人は会っただけで、少しの談笑を終えたらそれぞれの用事を済ませようと思っていた。いや、何事もなく済ませられるはずだった。
話している最中に、妖怪達が人里に襲撃してきたのだ。
村人達は何か起きたのかわからなかった。皆が皆混乱し、逃げようとする者もいれば、建物に篭る者、妖怪に立ち向かう者がいた。
それらを見た三人は、まず村人達を避難させようとした。が、それはある人物が阻止した。
上白沢慧音である。
普段温厚で優しく、時には厳しい彼女だが、幻想郷の中では数少ない人間好きな妖怪である。だから人里にいる村人全員が慧音が助けてくれる。助けることは無理でもなんとかしてくれる。そう思っていた。
ハルが慧音に阻止した理由を聞こうとし掴みかかろうとしたが、逆に掴まれ投げ飛ばされた。
その時その場にいた全員が確信した。コイツは敵だ、と。
慧音は自分のすぐ横にいた少女を頭を掴んだ。その少女は、慧音の寺子屋に通っている生徒の一人であった。
「先生やめて!手を離して!」
そう拒絶し手をどうにか払いのけようとするが、幼い非力な少女が妖怪の腕力に適うはずなかった。
慧音は掴んでいる方の手に力を入れた。ミシミシ、と頭蓋骨が軋む音がする。
それで満足したのか、慧音は少女を寺子屋の壁に投げつけた。
グシャり。
壁に少女の肉と血が付着する。
カランカラン、と骨が軽快な音を奏でた。
頭だけがピンポイントで胴体とちぎれていた。その頭はコロコロと転がり、ちょうど華緋の目の前で止まった。その目は「助けて」と物語っているようだった。
華緋は、何が起きているのかわからないという顔をしていたが、目は慧音の方を捉えており、何をしているんだ、と訴えているようだった。
慧音の方はケラケラと笑っており、心の底から楽しんでいるようだった。
「華緋さん!伏せてください!剛弓『グランド・レイ』!」
零夜の持つ白杖から弾幕から発せられ、華緋は驚きはしたがすぐにしゃがみこんだ。
代わりに華緋の前に移動していた慧音が被弾した。
「・・・零夜!?馬鹿、今こっちに攻撃したら他の人が・・・!」
「出来る限り避難させたので大丈夫です!それに、さっき攻撃受けたけどハルさんもいますから!」
「ハルさん『が』じゃなくてハルさん『も』かよ!?しかも余計な一言まで付けられるし!まぁいい、華緋さんとやら、さっさとそこから動いたらどうだ?バカナノ?どっかのお姫様なの?」
「明らかに特定してるじゃない・・・。って何してるのよ!?」
「えっ、そう言われてもおぶってるんだけど。なに?そんなのも分かんねーの?どうせお前動かないだろー(笑)」
慧音が怯んで倒れている隙にハルが華緋を抱え、零夜の元へ戻った。
華緋を降ろして、ハルは何かやり遂げたような顔をする。
どごぉ。
華緋の右ストレートがドヤ顔しているハルの顔面に決まった。
「痛ってーな!ナニすんだよ!?私はアンタの為に助けてやったんだぞ!?」
「ハルさん、口調。口調すっごいズレてます」
「助けてくれたことはいいけど、やり方が嫌なのよ!」
「結果より過程重視なんですか!?」
「「零夜、どっちが正しいと思う!?」」
「僕に振られても・・・」
ぎゃーぎゃー。わーわー。
騒がしい三人組である。
と、その時。
むくり。
慧音が起き上がった。が、まだ三人は気づいていない。
「そもそもなぁ!助けてやったのに礼の一つもないは失礼だろ!今すぐ俺に謝れ!そして敬え・・・」
「礼は言うわ。でも、あのやり方は納得出来ないのよ!もっと効率のいい方法があるはずだ、わ・・・」
「ちょっとどうしたんですか二人共!?まさか慧音さんが起き上がったとか言わないでくださいね!?」
「おいおい、冗談だろ・・・?まさか、零夜がすぐにフラグ建設して回収するとはな・・・」
「言ってる場合!?しかも敵は慧音だけじゃないのよ!?」
「そういえば妖怪達もいましたね・・・。律儀に待っててくれましたけど」
「そうだな。例えるならば、ヒーローの変身シーンが終わるまで待っててくれる怪人だな。一部例外もいるが」
「長いし、よくわからない例えだわ!?」
「ま、そんな事はどうでもいい。重要なのはコイツラをどうするか、だな」
「・・・あーもう、こうなればどうでとでもやってるわよ」
「投げやりになってますね・・・。でも、このまま放置しておくわけにはいきません」
言ってることはイマイチ噛み合ってないが、考えいることは同じである。
三人はそれぞれ背中を二人に預け、慧音に、そして妖怪達に相対した。

―――そして最初に戻るのであった。
「しっかしよぉ・・・。なんで慧音せんせーまでこっちに攻撃してくんだよ。普通逆じゃね?」
「考えられる事としては・・・、やはり、異変の影響を受けていると思います」
「そこら辺にいる人があんなバイオレンスな事やるなんて・・・気持ち悪いわ」
そんな会話が出来るのは、相手が下級の妖怪ばかりだったからである。弾幕の一つや二つを当てればすぐに倒せる相手だけであったので、数が多いが考慮してもかなり余裕があった。スペルカードを使用すれば尚更である。
さらには、慧音が全然攻撃してこない事も理由の一つであろう。攻撃してきても、それらの弾幕は密度が薄くまるで難易度はeasyと言ったところか。
ただ、慧音達の攻撃を回避し弾幕を撃つだけ。それらを繰り返すだけの簡単な仕事だった。
そして、ついに終止符が打たれた。

「博麗の神、そして先代博麗の巫女である、博麗麗香、ここに参上!皆、大丈夫!?」
「えーっと、れ、麗香の付き人、エル!呼ばれて参上!お待たせー!」
麗香とエルが駆けつけて来たことから、妖怪達の士気が低下した。慧音もこの二人が来ることは想定していなかったのか目を丸くさせている。
逆に三人共、驚きはしているものの笑みが溢れている。
「何故お前たちがここに・・・!?あの二人め、私を騙したというのか・・・!?」
慧音は、攻撃をやめ、一心不乱に走り出した。無論、妖怪達も麗香達も驚いている。
「なんで逃げたかはわからないけど・・・。先にこっちをやっちゃいましょうか。ハル!エル!華緋!零夜!貴方達は慧音を追ってちょうだい!私は先にこいつらを片付けておくわ!」
「合点だ、すぐに慧音せんせーをとっちめてやるさ」
「了解したわ」
「わかりました、行きましょう皆さん!」
「おー!麗香も早く来てね!」
4人は慧音を追いかけ、この場所には麗香と妖怪達が残った。
「さて、終わらせましょうか・・・。皆の敵、とらせてもらうわ」
呟いた直後、麗香の体がふわっと浮き上がる。
そして、高らかに麗香は宣言した。

「・・・麗符『夢想天生』!!」

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/04/30 (Thu) 21:30:40

東方影疑惑 第15話 (Bチーム)

薄暗い路地。そこにも血肉や骨が散乱していた。大通りよりにはマシだが、それでも多かった。
そこに、はあ、はあ、落ち着かない呼吸が木霊する。
麗香達から逃げてきた慧音である。
「なんでだ・・・ッ!どうしてこんな事に・・・!私は言われた通りにやっただけじゃないか・・・!」
ある青年と女性に持ちかけられた話だったが、上手くいってたのだ。もっとも、異変解決者達が現れてしまったので今まではもう灰同然に崩れている。
「アイツ等・・・次会ったら殺してやる・・・!アイツ等の歴史等全てこの世から・・・消してやる・・・!」
そう呟くも、精神は満身創痍だった。
ザザっ。
そこに、ハル、零夜、華緋、エルが到着した。
「ぜー、はー、けーね先生みっーけ・・・うぷ、きぼぢわりぃ・・・」
「ハルさんしっかりしてください!さっきまで「けーね先生なんぞ数分で見つけてやるぜ★」って言ってた時の威勢はどうしたんですか!?」
「はあ・・・。まったく、その程度でダウンなんてしてたらこっちに迷惑かかるのよ?」
「でも、華緋の足もプルプル震えてるよね」
が、ハルは呼吸がまともに出来ず顔が真っ青になっており、零夜はそのハルの背中をさすっており、華緋は足が現在進行形で攣りそうになっており、エルは元気いっぱいの状態である。
慧音は目をぱちくりしてたが、首を振り、ハル達と対峙する。
「邪魔をするな・・・!私にはなぁ、愚か人間達を全員抹消する使命があるんだよ・・・!」
「妖怪も、愚かだと思うけどね。どちらにも長所や短所はあるものだわ」
「・・・フッ。さっきの子供も、そんなこと言ってたよ。「どっちにも良い所と悪い所があると思うの!」って、馬鹿みたいに、阿呆面でな」
ハハハ、とその時のことを思い出したのか腹を抱えて慧音は笑いだした。
「ああ、お前らもそういうこと、言うんだろ?わかってるんだよ、人間は同じ過ちを繰り返して、学ばない。歴史を見てればわかるのさ・・・!だから人間はいなく・・・ッ!ウッ!」
慧音の言葉はそこで途切れた。
さっきまでの、笑みを浮かべていた表情は一変して苦しみに変わった。まるで何かに抵抗しているように見える。
「ど、どうしたんだろ」
「何かに・・・苦しんでいるようにも見えますね」
慧音は、掠れた声で懇願した。
「・・・逃ゲ、ろ。今、すぐに、ワタ、シが、壊れル前に」
「おい、けーね先生!」
「ハヤ、ク行、ケ・・・!モう、モタナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ひゅん。
「・・・ア?」
バシュッ。
ごとん。
一瞬にして、慧音の頭が落ちた。目は悲しみを訴え、口から出ている唾は苦しみを表していた。
皆が皆、唖然としており、呆然としていた。
何が起きたのかはわからなかったが、全員こう直感した。

―――ここに居たら危ない

最初に動いたのは零夜だった。
「皆さん!麗香さんの所へ行きましょう!」
その声に、残り三人も反応し移動を始めた。
最後、華緋は慧音の落ちた首を見つめつつも三人を追いかけた。
薄暗い路地、寂しそうに慧音の首と胴体が転がっていた。




「あれ、もしかしてもう終わったー?」
あどけない少女の声が辺りに響くも、気づく者は誰もいない。
むー、と不満気な声を漏らしつつ、少女は転がっている慧音の頭を拾い上げた。
「先生なんでこうなってるんだろー。・・・あっ!もしかして装置が作動したのかなっ?まーさか、先生が引っかかるなんて!面白いなぁ!良かったね先生!君は、この物語を面白くしてくれたんだよ!英雄になっても不思議じゃないね!」
慧音の頭を見つめつつ、少女は笑顔を浮かべた。
そして胴体の方へ近づき、能力を作動させ出てきた亀裂へ蹴り飛ばした。
「先生のおかげで実験は成功だよ!データは二人が取ってくれているし、僕はこんなに楽しめる!"死んだ"あの子も報われるよ!先生も、こんな顔して喜んでいるもん!・・・そうだ、先生も飾ってあげるね!」
少女はそう言うと、また亀裂を発生させ、大きなショーケースを取り出した。
そこには、アリス・マーガトロイド、比那名居天子、フランドール・スカーレット、魂魄妖夢、八雲藍、四季映姫・ヤマザナドゥ、八坂神奈子、洩矢諏訪湖・・・。
言わずと知れた、幻想郷の妖怪達だった。
ただしいつもと違うのは、生首だけで、顔はいずれとも悲惨な顔をしていた。
彼女達の生首だけが、ショーケースに飾られていたのだ。
意気揚々とケースを開け、慧音の生首を空いてるスペースに置く。
そしてケースを締め、また亀裂の中へ蹴っ飛ばした。
「あぁ・・・、ゾクゾクしちゃうなぁ!これからがとっても楽しみだなぁ、もう!」
少女は、きゃー、と騒いでいた。
ざざっ。
「・・・何やってんだ餓鬼。帰るぞ」
「お嬢ー?実験のデータ取りましたし、そろそろ戻りませんかね?」
「・・・ん?あ、お帰り二人共ー。どだった?」
蓮と葵がやって来たことにより、少女の熱は冷めた。
「どうもこうも。半獣が引っかかただけだ」
「えぇー!?ナニソレ!?僕そんな事聞いてないよ!面白いことがなかったか聴いてるのー!」
「・・・お前がどうだったか聞いてきたから快く答えてやっただけじゃねぇか!なんで怒られないといけないんだ!?お前は俺をイラつかせる王様か!?もういい一回殴らせろ糞餓鬼!」
「まーまー、二人共落ち着きなさいよ。お嬢、早くしないとあの子らに見つかるよ?葵もそうカッカしないの。今に始まったことじゃないんだしさ?」
少女が葵に喧嘩を売り、それを蓮が止める。
普通なら微笑ましいと思うところだったが、この三人がやっていた行動が全然微笑ましくないのでこれらも微笑ましくなかった。
「ぶー。わかったよぉ、帰ればいいんでしょ。帰れば」
手を、パチンと鳴らし、亀裂を発生させた。
最初に葵が入り、その次に少女、蓮の順番で入ることになった。
が、少女は葵が入ろうとした時に、葵を蹴っ飛ばして入れた。
葵をその衝撃で亀裂に入ったが、ギリギリ亀裂の端を掴んだ。
「・・・いてぇんだよ!!おい糞餓鬼聞いてんのか!?」
「効率的かつ、無駄のないショートカットだよ葵ちゃん。ついでに葵ちゃんのその長い髪の毛もカットしちゃおうか?カットだけに」
「うっせー!面白くねーしうざいし腹立つわ!おい蓮!見てないで助けろ!」
「えっー?なんのぉことぉかなぁ~♪」
「UZEEEEEEEEEE!お前ら人間じゃねぇ!って本当に人間じゃないのがこれまた腹立つわ!」
「もー。いい加減落ちてよー。僕ら入れないじゃんー。葵の阿呆ー!」
少女はそう言うと、2、3歩下がり、一気に助走をつけて蓮共々葵を蹴落とした。
「糞餓鬼ィィィィィィィィィ!!てめぇ覚えてろよォォォォォォォォ!!」
「お嬢何で僕まで落としたんですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
何か断末魔が聞こえたような気がしたが、気にしないでおこうと思った。
「もう!早くしてくれないと困るのは自分たちなのにっ!」
ぶつくさ文句を言いつつ少女も亀裂に入り、亀裂は閉じた。
閉じた直後、別の亀裂が発生し、そこから何かが落ちた。
薄暗い路地には誰も残らなかった。
ただ、上白沢慧音の胴体が残されていただけだった。
ばたん、と人体の倒れる音がした。

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/05/15 (Fri) 21:26:48

東方影疑惑 第16話 (Bチーム)

慧音の死を目撃した4人は早急に麗香の元へ向かった。
すでに妖怪達は麗香の手によって全滅していた。
「あれだけの数いたのに・・・。息切れもしてないなんて」
「やっぱ博麗の神の名はダテじゃないってことだよなぁ」
「麗香さんは最高です!」
「零夜どーしたの・・・」
「・・・ハッ」
「うふふ、褒めても式神や弾幕ぐらいしか出ないわよ?」
麗香は余裕たっぷりだった。
三人でも充分に捌けるぐらいだったので、博麗の神一人でも余裕である。
「それよりも・・・、早く紅魔館へ行きましょう。霊夢が先行しているはずだわ。さぁ!スキマの中に入った入った!」
そう言うと、麗香はいつの間にやら発動していたスキマに他の4人をグリグリと押しその後に自分が入った。

in 紅魔館
紅魔館に着いた5人の目に飛び込んで来たものは、瓦礫の山となった紅魔館である。
瓦礫の下には、妖精メイドの羽がちらほら見かけた。逃げる途中でこうなったのか、それとも逃げる前にこうなったのか、今はではもうわからなかった。
門の下には美鈴が下敷きになっていた。脳が飛び出しており下半身と上半身が分かれていた。どこからどう見ても絶命しているのは明らかだろう。彼女のトレードマークである帽子は美鈴の死体の前に転がっていた。
不幸中の幸いといったところか、図書館が残っていた。
「・・・咲夜さんは?」
零夜はふと呟く。
この5人の中で、紅魔館と一番関わりがるのは零夜であろう。特に咲夜は零夜と仲が良かった。
誰も零夜の呟きには答えなかった。否、答えられなかった。
「・・・咲夜さん!」
「ちょ、ちょっと零夜!何処に行くの!?」
「咲夜さんを探しに行きます!」
エルの制止を振り切り、零夜は空間を繋ぎ消えてしまった。
「零夜、大丈夫かしら・・・」
「大丈夫だろ。アイツの強さを疑うのか?頭大丈夫?」
「ま、それは言えるわ。そうだ麗香。霊夢もここにいるのよね?」
「そのはずだけど・・・。この有様じゃわからないわ。多分、図書館にいると思うの。比較的無事に見えるし、あそこにはクロもいるはずだわ」
「うん、それは言えるかも」
満場一致で、図書館に行くことになった。
行く前に、せめてもの救いにと麗香は美鈴の目を閉じてやり、手を合わせてやった。



in 図書館
「ヒグッ・・・エグッ・・・パチュリー様ぁ・・・」
綺麗な紫色の髪を持つ少女が、すすり泣いていた。
彼女の傍には、図書館の主である、パチュリー・ノーレッジの遺体があった。隣には小悪魔が寄り添っているかのように冷たくなっていた。
「これから・・・どうすればいいんでしょう・・・」
弾幕ごっこをしていたらいきなり暴れだしたフランドールに能力を破壊されたと思ったら、そのフランドールの首が飛び、その光景を見ていたレミリアが暴れ始めた。駆けつけて来た咲夜は、時を止めて少女――クロ――だけを連れて図書館へ移動させた。その後気づいたらパチュリーと小悪魔の遺体があったのだ。
レミリアが上がってこないことを考えると結界のようなものを貼ったんじゃないかと思う。
「・・・このままいても・・・ダメです・・・」
よろよろと立ち上がり、壁に寄りかかりながらも歩き始める。
名残惜しいようにパチュリー達の方を何度も振り向きながらも、フラフラと彷徨うように歩いた。
「・・・さー・・・!さく・・・さ・・・ん!咲夜さーん!!どこですかー!?」
クロは、聞き覚えのある声にハッと顔を上げた。
「この声って・・・もしかして零夜さんです?」
「咲夜さーん!何処にいるんですかー!?
間違いない、零夜の声だ。
暗かったクロの顔に、少しの笑顔が戻った。
徐々に声が大きくなるにつれ、クロの歩幅も大きくなる。
そして、角のところで二人は会った。
「・・・零夜さん!」
「咲夜さ・・・あれ、クロさん!?」
「・・・ふえぇ~・・・グスッ」
「ええっ!?え、ちょっと、何で泣いているんですか!?落ち着いて話してください!ねっ?」
クロから事の顛末を聞いた零夜は落ち着きを取り戻し、頭を捻った。
「う~ん・・・どうしましょうか。僕、後先考えずに来てしまったので麗香さん達置いてきちゃったんですよね・・・」
「・・・麗香様達が来てるです?」
「えっ?まぁ、そうなんですけど・・・。多分、図書館に来てくれると思いますよ?・・・紅魔館自体は、とても探索出来るような状態じゃありませんでしたし」
「にゅ~・・・」
「・・・きっと、来てくれますよ。麗香さん達なら」
その言葉に共感を持ったのかクロは首をブンブンと縦に振った。
「零夜ー――っ!!どこ行ったのー!?」
「いるなら返事しなさいよヘタレー!」
「ほら、噂をすればなんとやら、です。って、ヘタレって言わないでくださいよー!!」
「おーいたいた。まったく手間をかけさせるやつだぜ、本当」
「あ、クロもいたのね。良かったわ」
「にゅ~!麗香様達もご無事だったのです!」
麗香、ハル、華緋、エルが合流した。
クロは先程の事を改めて話した。
「そう・・・だったの。ごめんなさいね、クロ。私がもっと早く決断していれば・・・」
「そんなことないです、麗香様達が来てくれただけでも十分です!」
「そう、ありがとうクロ。・・・さて、霊夢を探しに行きましょうか」
「にゅ?霊夢様も来てるです?」
「そのはずだよー。でも、全然姿が見えなくて」
「自分も見ませんでした。・・・あー、もしかして」
「にゅ~・・・、あそこは行きたくないです・・・」
「あそこ、というと?」
華緋がそう尋ねると、クロと零夜は目を逸らしてしまった。
麗香は二人の行動から察した。
「もしかして、地下室・・・なのかしら」
"地下室"、という単語に全員が反応した。
紅魔館の地下室というと、紅魔館の主、レミリア・スカーレットの妹である、フランドール・スカーレットがいることで有名だ。
自ら近づきに行くのは、余程の馬鹿か強者、そして彼女の友達だけである。
「おいおい、今の地下室ってアレだろ?お嬢様が暴れてるんじゃないのか?」
「吸血鬼が暴れまわっているとか・・・頭が痛くなるわ」
「レミリアに会ったら、戦闘は避けられないよね・・・」
ここにいる全員、現在の地下室には、レミリアが暴れている事しかわかっていない。
しかし、探す場所はもうそこしかなかったのだ。
「どうします、麗香さん。地下室に行くか、諦めて他の場所へ行くか」
「行くに決まっているでしょ?」
キッパリと言い切った麗香は、我先にと、ドンドン、地下室の方へ歩いて行った。
残りの5人も慌てて麗香の後を追いかけた。

――――――――――――――――――――――――
どうやら私は事あるごとに登場人物が○んでる小説しかけないっぽい。そういや最初のENDはDEADENDに決まりましたね(ニッコリ どうやって希彦○なせるか考えなう。
ちなみに物凄いネタバレ。希彦と絶の関係はう●ねこの金髪の魔女さんと青髪の魔女さんみたいな関k
あれ、なんか私の前に亀裂ができてい

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/05/23 (Sat) 12:00:00

東方影疑惑 第17話 (Bチーム)

麗香達の前には、巨大で装甲が施されている扉があった。
地下室の扉である。
麗香やクロ、零夜はこの扉は何回か見たことはあった。
ただ一つ違う所があった。
扉には何か紫色の魔法陣が書かれていた。その周りには小さい赤い魔法陣が鎖のように並んでいた。
「何かしら、これ。クロ、わかる?」
「えっと・・・。パチュリー様が書いた魔法陣だと思うです。種類としては、結界の類です」
「結界かぁ。お嬢様でも封じ込める結界とか?」
「でもさ、すっごい音響いてるよ」
「暴れている証拠ね・・・」
「咲夜さん・・・」
この先には、誰がいるのだろうか。何が待っているのか。
不確定要素しかないが、一同は進むしかなかった。
「それじゃあ・・・開けるわよ」
一同は頷き、麗香が扉を開けた。
ギィッ・・・
重装甲な扉は鈍い音をたてて開かれた。



in 地下室
「暗っ!これじゃあ前も見えないわ」
地下室の中は黒、黒、黒。
麗香が言ったように前の確認すら出来なかった。
「・・・いや、暗いなら麗香さんの夢想封印で照らすこととか出来ないんですか」
「あ、それ俺も思ったわ。頭大丈夫?」
「おっとっ・・・。暗いから足元が見えないわ。麗香、早くしてちょうだい」
「私は電化製品じゃないのよ」
明らかに不満が入り混じっている声で応答しつつも、夢想封印であたりを照らした。
「・・・ヒッ!」
照らさなければまだ良かったかもしれない。
部屋の中は、見渡す限り、紅、紅、紅。
さらには、フランドールの胴体、それを抱えているレミリア、そして―――何処となく見たことがある緑色の髪を持つ少女だった。
レミリアは目は少女に向けられており、その目は憎しみに溢れていた。
少女は明らかに敵だと零夜、ハル、華緋、クロにはわかった。
だが、麗香とエルは違った。
「希彦?希彦なの!?」
「えっ、あれ希彦ぉ!?」
麗香とエルが見間違えるのは無理はなかった。
彼女らがいう希彦と、その少女は瓜二つだったからだ。ただし、目の色と服の色が違った。
希彦の目は深い青だったが、こちらは真紅だ。服は、希彦が白を基調とするならば、少女は黒を基調としている。
少女は、しばしポカンとしていたがすぐにニッコリと笑みを浮かべた。
「こんにちは。君たちとは・・・初めましてかな?うん、合ってる。あと一つ訂正させてね?僕は希彦じゃないよ?」
「じゃあ・・・誰だっていうの?あの子のクローンとか双子とか?」
ブブー、と腕を交差させて×の形を作った。
「うーん、どっちだと思う?まぁどっちも正解であって不正解なんだけどねっ!」
「おい!話を聞いているのか!?フランに何をした!?咲夜は何処にやった!?」
「・・・もー。うるさいなぁ!今君と話はしていないんだよ!?少しは黙れねぇのか糞餓鬼吸血鬼ィ!!?」
いきなりの豹変にレミリアを除く全員は黙ってしまった。
ただ、レミリアは反論を続けた。それが命取りになってしまった。
「・・・糞餓鬼ですってェ!?最近来た新参に言われたくないわ!そんなことよりフランや咲夜を何処に―――ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!」
レミリアの言葉は最後まで紡がれることはなかった。
なぜなら
「・・・黙れってんだよ!そんなんだからさぁ!?他の妖怪達からも!ここにいた妖精メイドにも!博麗の巫女も!お前が一番信頼してるであろう従者にも!!舐められるんだよぉ!?わかるぅ!?」
少女が一瞬にして大剣を取り出し、レミリアの胴体を真っ二つにしたのだ。
その時、フランドールの胴体も一緒に二つに分かれた。
レミリアは、バランスを崩し前のめりに倒れた。芋虫のようにジタバタしてなんとかバランスを戻そうとするが、そこを逃す少女ではなかった。
レミリアの上胴体を片手で持ち上げ、一気に叩きつけた。右腕がちぎれた。
「ア゛ッ・・・ア゛ア゛ッ!!」
「あのさー、こっちだってこんなところ態々来たくなかったんだよ?用事が無かったら、こんなゴミ溜めみたいな所。って、聞いてないっぽい?あーもう、やだ。これだから死にぞこないはさぁ」
「ヤ゛メ゛テ゛ッ・・・!ユ゛ル゛シ゛テ゛・・・!」
「「やめて」?「許して」?やだよ。そっちが仕掛けてきたんでしょ?あーヤダヤダ。早くここから出たいなぁ」
んー、と少し考える素振りを見せて少女はまたニッコリと微笑んだ。
「・・・そうだ。僕もうこんな所居たくないからさ?君の"元"従者に片付けてもらうねっ♪」
パチン、と指を鳴らし、亀裂を発生させた。
そこからは、レミリアの従者である十六夜咲夜が出てきた。
「それじゃあ、あとよろしくねー★」
「・・・仰せのままに」
そう言い、少女は亀裂の中に入っていた。
完全に亀裂が消え去る前に、麗香達の方を向きこう言った。
「あぁ、そういや名前、教えてなかったよね?僕は絶。絶望の絶で絶だよ。今度会うときは、希彦と一緒に来てね♪」
咲夜はそれを見届け、そしてレミリアの方に向き直った。
「サ゛ク゛ヤ゛ッ・・・!オ゛ネ゛カ゛イ゛・・・、タ゛ス゛ケ゛テ゛・・・!」
「・・・。わかりました、今すぐに、楽にさせてあげますね?」
咲夜は自前の銀のナイフを取り出し、レミリアの喉目掛けて振り下ろした。
喉にナイフが突き刺さった直後レミリアは、何が起きたの?という顔になり、咲夜が自分を殺したのだと、死ぬ直前にわかった。そして灰になった。
「お嬢様!」
「レミリア!」
クロはと麗香は一目散に飛び出しレミリアの方へ向かった。
咲夜は、特にレミリアの灰に見向きもせず、クロと麗香の邪魔をするのでもなく、入口の方へ歩いて行こうとした。
「・・・待ってください」
「・・・零夜?どうしたの?」
「なんで・・・なんでお嬢様を殺したんですか・・・!?」
「それは俺らも聞きたいな。殺す理由がないじゃないか」
「言わないとわからないの?私、実は―――」
咲夜は能力を使用し、零夜とハルの間にいた。
「―――お嬢様のこと、大嫌いだったのよ?いつも我が儘言うし文句付けるし後処理は全部私に任せるし周りに迷惑かけるしで、私に得なんてありゃしないのよ」
「・・・なんで!?いつもレミリアの傍にいた咲夜がそんなこと思うはずないよ!」
「エル、私これでもポーカーフェイスは上手なの。いつもはあの子供が散歩とかに出かけたら愚痴っているのよ。美鈴もそれに賛同してくれていてね、よく愚痴を言い合っていたわ。わざと皿に毒を入れたり、寝ている間に水をかけたりして反応を楽しんでいた。あの馬鹿正直なお子様は、私達がやったなんて考えなかったの。それがとっても滑稽だったわ。自分で犯人を探しに行くとか言って結局泣きながら私に擦り付けてきたんですもの。その時は妖精メイドの仕業とだけ言っておきましたけど」
クスクス、と笑う彼女はいつもの彼女のように見えた。
が、根元が腐っている。
「咲夜さん、そんな理由でお嬢様を・・・?」
「ええ、そうよ?あ、ちなみに私に危害を加えようとしたら」
咲夜はゆっくり服の袖を捲った。
「―――腕に埋め込まれている核が爆発を起こして皆いなくなるわ」
『なっ・・・』
全員が息を呑んだ。
「特別に範囲を教えてあげる。私が図書館の中心にいると紅魔館全てが吹っ飛ぶのよ、跡形もないぐらいにね。と、いってもギリギリ紅魔館だけに収まる範囲だから、幻想郷全体が吹っ飛ぶわけではないのよ?そうそう、このままいても時間式だから爆発しちゃうし今のうちに逃げておいた方がいいと思うわ。私は、貴方たちを殺したいとは思ってないから。ただ、あれの存在を完全に殺したいとは思うけどね」
じゃあね、そう告げた咲夜は能力を使用し消えてしまった。
「・・・紅魔館、無くなっちゃうです?」
「そう、なるのかしら・・・。咲夜をどうにかして止めたいけどこの短時間じゃ無理だわ」
「結界とか張れないの?」
「結界は無理だと思う。時間もないうえに、咲夜に気づかれたら自害でもして爆発させかねないわ」
「おいおい、それってよ・・・」
「紅魔館を見捨てろって言うんですか!?」
「・・・そうは言ってないわよ!ああもう頭が痛くなっちゃう・・・」
「ど、どうするの!?このままいても結局爆発しちゃうよ!?」
「それは一理あるが・・・、どうする?咲夜に危害を与えても駄目、止めようとしても駄目、さらには放っておいても駄目。どれ選んでもバッドエンドまっしぐらだな」
「―――皆~、大丈夫~?」
気の抜けた声。
今ここにいる誰でもない。
「・・・もしかして、紫?紫なの?」
「ご名答~。ゆかりんで~す」
絶が出した亀裂とは別物の亀裂、いや隙間と言ったほうがいいかもしれない。
その隙間から紫は上半身をひょっこり出した。
「紫、貴方何かが策があるの?・・・あと、霊夢、見てないかしら」
「霊夢は無事よ~。レオナと一緒に、神社に避難させているから~。あと、策、といっても選択肢よ?まず一つは、十六夜咲夜を無効化することよ。二つ目は、全員逃げてこのまま紅魔館を爆発させることね~」
直後、零夜は紫の胸倉を掴んだ。
「ふざけないでくださいよ!!どのみち咲夜さんは死んじゃうじゃないですか!」
「・・・ふざけてなどいないわ。これ以上被害を出さないようにするためよ。それにもう、十六夜咲夜は助からない」
「被害って・・・まさか、他の所にも異変が?」
「そう。私が知る限りだけど、永遠亭、冥界、妖怪の山で異変が起きていることは明らかよ。後は、天界や旧地獄でも起こっているわ」
「永遠亭の皆が・・・?」
「零夜、わかってちょうだい。どうやっても十六夜咲夜は死ぬのよ。・・・皆、決断して頂戴。私が今出来ることはこれぐらいしかないのよ」
「え、紫それって能力とか使えないってこと?」
「・・・やられたのよ、藍が私の意思に反して襲いかかってきた。その隙にこれを橙につけられたわ」
ジャラン、鎖の音が響いた。
よく見ると紫の手には手錠が掛けられていた。
「能力は使えるけど、制限が掛かっている感じね。だから、早く、決断しなさい」
一同は黙ってしまった。
どちらを選んでもバッドエンド。
しかし、選ばなくてもバッドエンド。
状況は絶望的だった。
「・・・決められない?・・・そうよね、無理もないわ。せめて貴方達だけでも助かってちょうだい」
手首を器用に一回転させると、麗香達が隙間に包まれた。
「ちょっ、紫!貴方何をして」
「おいBBA!俺たちを何処に送る気だ!?」
「紫様!?待ってくださいです!」
「貴方達を博麗神社に送るわ。そこには、霊夢達もいる。事情も話したから安心して。皆で協力して、異変を解決して頂戴・・・」
隙間は徐々に小さくなっていき、最後には消滅した。
紫の頬には、一筋の涙があり、それは落ちてピチャッと音を立て見えなくなってしまった。
最後の隙間が消え、そこには何も残らなかった。


―――数十分後、紅魔館は幻想郷の地図から消えた。



――――――――――――――――――――――――
鈴さんとべにさん・・・ゴメンなのです!本当にゴメンなのです!!
物凄いキャラ崩壊してましたよね、零夜くん・・・。
レオナちゃん、全然出せてないですね・・・。次回は活躍させますんで!
何気に絶が本格的に登場してますね。お供の方が先っていう(愉快な仲間たち一号二号)。
長いから投稿するのが遅い→じゃあ短くしろよ→短くすると話がわからなくなりそう→なら長いままでいいや→最初に戻る、という悪循環を自分は繰り返してます。びっくりだね(馬鹿)。

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/06/20 (Sat) 14:48:56

東方影疑惑 第18話

in 博麗神社
「暇ですねぇ・・・」
「あぁ・・・そうだな・・・」
「・・・お腹空いたよ魔理沙君」
「我慢しようよ広夢君、この神社に食べ物を期待しちゃいけないんだよ・・・」
「奏の言うとおりだわ・・・この寂れた神社にくる参拝客なんていないに等しいんだから・・・」
「酷い言われようね」
神社の縁側には、希彦、魔理沙、広夢、奏、レオナの5人が座っていた。
そこにムッとした顔の霊夢が全員分の茶飲みをお盆にのせてやって来た。
「まったく、紅魔館に行こうとしたらいきなり紫に強制送還させられて、今度は神社の風評被害。とっても不愉快だわ」
「そう言いつつもお茶を渡してくれるんですよねぇ・・・、霊夢さんは」
「ツンデレかな?」
「ツンデレだね」
「ああ、ツンデレだな。霊夢は」
「魔理沙、この異変が終わったらあの石畳の修理費、払ってもらうからね」
「って霊夢!これお茶じゃなくて白湯だわ!取り替えて頂戴よ!」
「うるさいわねレオナ!全員白湯で我慢しなさいよ!」
クックッと、希彦は笑った。
その場にいた希彦を除く全員がビビった。
「え、なんですかこの空気」
「いや、アンタ、そう笑うんだ・・・」
「いたって私はこれが普通なんですけどね」
「でも、トランプしてた時も希彦さん笑ってなかったね」
「そうだったよね、すっごい落ち着いている感じだったよ」
「そうですか」
素っ気なく希彦は答え、お茶ならぬ白湯を啜った。
「というかさ、アンタが一番ツンデレなんじゃないの?」
ブブゥ。
希彦は思いっきり白湯を吹き出し、隣にいた奏にかかった。
「ゲホッゲホッ・・・。何言ってるのですか、霊夢さん」
「希彦ちゃん・・・言うことは本当にそれだけなのかな・・・?」
「あっ、すみません」
奏をよく見ると髪の毛からポタポタと水滴が落ちていた。
ハンカチを取り出し希彦は奏の顔を拭き始めた。
「いや、その理屈はおかしいんじゃないか」
「え、何のことですかね」
「いやいや、そのハンカチ、何処から取り出したんだ?」
物凄い勢いで希彦は目を背けた。奏の顔を拭きながらである。
「魔理沙さん」
「なんだ?」
「バレなきゃ問題にならないんですよ」
「そうか、よし皆コイツ殴ろう」
「やるなら神社の外でやってちょうだい」
「!?れ、霊夢さん止めてくださいよ!」
本来寂れている神社に活気がある。
霊夢は顔に出さないが、内心嬉しかった。
歴代博麗の巫女とは異色の霊夢だが、妖怪がいないと、この活気は生み出せないと考えていた。
異変が解決したら、きっと希彦も幻想郷に住むだろう。そしたらまた神社は妖怪だらけになるが、さらに活気が生み出される。異変を解決していけば、この神社はもっと賑やかになる。そう思い、霊夢はまず、この異変を解決しようと思った。
「それにしても・・・母さん達、遅いなぁ。そんなに紅魔館で何かあったのかしら」
「私達が行こうとしたら途中で紫に止められたし、多分大丈夫だと思うけど」
「そうよねぇ・・・。って、あれ?あの亀裂って」
ぐにょんと、霊夢達の前に亀裂が現れ、パカっと開き、直後に麗香達が落ちてきた。
「うわぁっ!?」
「きゃっ!」
「ぐえっ」
「痛い~・・・」
「ここどこよ・・・って、神社?あっ、霊夢!」
「母さん!無事だったのね!」
麗香は霊夢の元へ駆け寄り、ぎゅっと抱きしめた。
「母さん・・・。ねえ、何があったの?レミリアは?フランは?紅魔館のみんな、どうなっちゃったの?」
霊夢がそう聞くと、麗香は俯いてしまった。麗香だけではなく、スキマから来た全員が。
それらから何かを察したのか希彦は霊夢に声をかけた。
「大丈夫ですよ。紅魔館は吸血鬼の住む館でしょう?きっとあちらも異変の対処に追われているだけ・・・。この異変が終わったら好きなだけ暴れてもらいましょうよ」
宴会でですけど、とだけ付け加え希彦はぎこちなく笑った。
笑ってはいるが、内心別のことを考えていた。
(あぁ・・・、紅魔館勢は、クロさんを除いて全滅か。ハハッ、゛アイツら゛は余程紅魔館のやつらが嫌いとみえる)
「皆、お揃いかしら?」
「ええ、そうよ・・・って紫!」
紫がまた隙間から出てきた。全員ビビった。
「状況を説明するわ。外で話すのもアレだし・・・ね。順番に隙間に入って頂戴」
全員不信に思えたが、打つ手もないので隙間の中に入ろうとした。

―――突如、目も開けられない光が全員を襲った。







「―――は?」
希彦は呆然とした。
自分は異次元を高速で展開して防いだのだが、辺りを見回しても何もない。
比喩ではない、本当に、何もない。
消えていた。
全てが。
隣にいた、霊夢も、魔理沙も、自分の前にいた八雲紫も、エルも、大夢も、零夜も、麗香も、レオナも、華緋も、ハルも、クロも、奏も、全員が。
神社も、隙間も、周りの森林も。
何があって?
光が来たのは、上空から。
見上げてみれば、カラスのような羽の生えた少女。確か、名前は霊烏路空だったか。
よく見れば攻撃矛先は自分に向かっている。
「あちゃー・・・。フラグ、満たしてなかったか。ま、初回だし次頑張りますかっと」
希彦は目を閉じた。
「覚えておきなさいな、私は10回もやり直せればクリア出来るから。首洗って待ってなさい」
この言葉は誰に向けたのか。
おそらく、霊烏路空の後ろにいる、自身にそっくりな少女。
「そっかー、次の君と僕に期待をしておくね?」
霊烏路空が構えた。
「そう、私はアンタにそんなに期待してないけどね」
希彦は、自分の死を悟り、笑った。
次の見る光景は、自室の天井でありますように、と思いながら。




DEADEND【もう一度】









「おお、希彦よ!こんなところで死んでしまうとは、情けない!・・・強くてニューゲーム、ですよ?まだまだお話はこれから。飽き性な私をの退屈を、何処まで解消してくれますか?


さぁ、早く目覚めなさいな!まだこの話は終わってないのですから!」




惨劇は、まだ、終わらない。



――――――――――――――――――――――――
アキャキャキャ。凄いEND回収しちまったけど反省してないぜ。というかこれ以上強引にENDと伏線回収していきますんでね・・・。
~希彦の冒険まだまだこれからだ!次回作にご期待ください~

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/06/21 (Sun) 14:54:02

東方影疑惑 第19話(二週目)

希彦part

「姉さーん!起きてますかー!?生きてますか、それとも死んでますかぁー!?」
「うん、実の姉にではないけれど姉に対してそれは酷いなぁ」
「きゃー!姉さんの寝起き!レアです!どこぞの徘徊じじい並にレアです!」
「おうじじいはや来いやっていう怨念が来そうだからやめて」
何処かで見たことある風景。
現代風に言うのであれば、デジャヴ。
これが一周目と同じであるならばおそらく・・・
「ねぇ、せっちゃん。みこちゃんは?」
「外の様子がどうとか言ってましたけど」
「姉さまー!!大変です一大事ですじじいが出ませんあと外に人妖がてんこもりです!最初からクライマックスですよぉ!?」
「某時間をどうにかする特撮ヒーローが使う表現みたいな言葉が出てきたなー(棒)」
私はあれだ、1回見たイベントスキップする派なんで。もう一回見る気しないんで。全カットでお願いしまーす。
ああ、そういえば二人に言っておかないと。


「二人共、今、゛何週目゛かな?」
ピタッ。
二人の動きが止まった。動きも表情もそのままで。
でもそれはちょっとだけ、せっちゃんが口をひらいた。
「残念ですが、その情報は、重要機密なので、お答え出来ません」
続いてみこちゃんが。
「私達は、案内役。それ以上でも、それ以下でも、ありません」
ふぅ、と溜息をつく。
物語に入ると、彼女達は駒だ。ゲームを進行するためだけの、駒。
別に今に始まったことじゃないのだ。他のところでも一緒だった。
そう、゛駒゛なのだ。特にイベントに関わりがあるわけでもない。物語の進行を勧めるだけなのだ。
なら、私がとる行動は一つ。二週目以降になると、最初に必ずやる行為。
先に言っておくが、別に罪悪感はわかない。だって、駒だし。人形みたいなものだから。





―――私は動かないせっちゃんの頭を掴んで握りつぶした。
ピチャピチャと、血が畳に。嗚呼、掃除が大変だ。
みこちゃんは動かない。私がやった行為についての処理が出来てないのだろう。
せっかくだし、みこちゃんの頭も握りつぶした。
これで行動の制限は解除。
他の連中は出てこないだろう。他に出てくるなら一周目から出てくる。そういうシステムなのだから。
「語るな駒が」
そう吐き捨て、私は窓を開けた。換気しないとね。
予想通り、一周目と変わらない面子だ。
さっさと終わらせよう。
あ、内容は変わらなかったし全カットで。
ああそうだ、これも先に言っておかないと。この物語を観覧している皆さんへ。
ちょこちょこ出てきた誰かの視点のやつ、意味ねーから!!意味あるのは私のだけだかんな。といっても常連者は知っているよな、ハハッ!
え、口が悪くなっている?
何を言う、私は基本優しいとか言われているけどそう振舞っているだけだ。
ぶっちゃけこれが素だよ。他人に優しく出来るほど私人間出来てないから。
人助けするのは損得の問題。だって、人間皆自分が一番可愛いでしょう?
だから私は人間が好き。

in 博麗神社

はいどーも皆さん。現在神社なうでーす。
道中全カットしました。あ、内容?んなもん変わってねぇよ。
今は広夢君来る前ですねー。
おっ、きたきた。一周目と変わんねぇな。人形も手紙も持ってやがる。
とりあえず治療が始まる前に殴るか。
私は跳躍して襲いかかった。右手にはチェンソー装備で。
とりあえず殴って片腕切り落とした。
ぎゃあぎゃあ五月蝿いな。お前どうせ偽物だろ?知ってるんだよ。
暴れるからこっちにも血が飛ぶじゃねぇか。これ結構お気に入りなんだからな。シネ。
周回プレイって本当爽快だわ。sksk進むから。
なんか魔理沙さん来たんで空いてた左手で腹パンしといた。
私は偽広夢君もといアリスさんにマウントポジション取る。
空いてる左手で殴る。何処を?ハハッ、言わせるな恥ずかしい。アリスさんは嫁に行けない顔になるけどな!んでもって恥ずかし過ぎて死ぬだろう。恥ずか死い。うわ何か新しい言葉出来た。
ん、「やめて」?嫌に決まってんだろJK。コイツ妖精よりも頭悪いな。
私凄いイライラしてるのよ。一周目あんな終わり方だったからね。焼死とかマジ勘弁。
わー顔の皮剥がれてきてる。ないわー。なんか魔法とけたのかアリスさんに戻ってきてるなー。
あ、アリスさん死んだ。


――――――――――――――――――――――――
希彦は一周目が終わると基本こうなる。ぶっ飛んだ女の子大好きです。
オリキャラのところの説明文に基本優しいと書いてますけど、これが希彦なりの優しさなのです。なんで?と思うかもしれませんけど、多分過去編でわかると思います。
安定して私は伏線入れてるんで何処にあるのか暇な人は探してみてください。

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2015/11/28 (Sat) 18:31:29

東方影疑惑 第20話

霧雨魔理沙は困惑していた。
先日仲良くなった少女―――希彦と神社に来た。
それから霊夢や麗香、エルに会った。
そのあと、空がおかしくなって、異変だと思ったので解決しに行こうとした。
でも、一緒に住んでいる大切な友人の広夢がボロボロになってやって来たのだ。
そこまでは良かった。
そう、
゛そこまで゛は。
何を思い立ったか、希彦はいきなり広夢に襲いかかった。
何処から取り出したのか、よくわからない鋭利な武器を左手に持っていた。いつかは忘れたが、香霖堂で見たことがある。霖之助が言ってた。
『ああ、魔理沙それは危険だから触らないでくれ。ん、この道具の名前?そうだなぁ、確か・・・そうそう、チェーンソーだ。見ての通り、外の世界の道具だよ。用途?珍しいね、君が用途に興味を持つのは。おいおい、叩くなって、ちゃんと説明してやるよ。よくわからないが、木を切る道具らしいね。電気で動き、刃が回る仕組みらしい。さっきも言ったが、勿論危ない。迂闊に触って手を切らないように』
人間は木よりも脆いのだ。チェーンソーという道具は、木を切断することが目的なのだから、木が切れる。
なら、その木よりも脆い人間も、切れる。
片腕が切られて吹っ飛んだ。その手に持っていた人形と手紙が舞い散った。
チェーンソーを持ったままで顔を重心的に殴りかかった。
魔理沙は、考えることをやめ、希彦を止めようとした。

が。

「おや魔理沙さん、どうしましたか?ああ、もしかしてこの人助けようとしたんですか?悪いんですけどそれ後にしてもらえます?」
そう言うと空いていた希彦の左手が魔理沙の腹を襲った。
「うっ・・・!」
「魔理沙!」
霊夢が慌てて駆け寄る。その間にも殴り続ける音が聞こえる。
エルは目を伏せ、麗香に必死にしがみついていた。麗香は鬼の形相で札を構えていた。

そんな中、音が止まった。
突然終わったので誰もが動きを止め、希彦の方を見た。
当の本人は、関係ない、といった顔でその場にいる全員を見た。右手で″何か″掴みながら。
「ねぇ・・・、その右手に持ってるの、何・・・!?」
全員が気になっていたことを霊夢が聞いた。
希彦はロボットのような無表情で淡々と告げた。
「ああ、これですか?皆さんご存知の、


アリスさんじゃないですか」
そう告げた直後、霊夢の膝蹴りが希彦の腹を襲った。
腹を押さえつつも、希彦はケロリとしている。
「ぐえっ」
「アンタ・・・何してるのよ・・・!何やっているのか、わかっているの・・・!?」
「・・・アリスさんは態々魔法を使って姿を変えて、しかも人形を持ってここに来たんですよ?明らかに私達を殺しに来てるじゃないですか」
「そんなの・・・偶然よ」
「アリスさんの実力は霊夢さん達がご存知では?こんな状況で人形一体しか持ってないとか完全に自殺行為ですよね」
「・・・っ」
そう言うと霊夢は押し黙り、その姿を希彦は腹をさすりながら見つめていた。
そんな中、麗香が口を開いた。
「貴方、いつからアリスだと気づいたの」
「最初からです」
「そうなの。・・・でもそれはそれ。これはこれ。アリスを殺した罪は重いわよ」
「・・・いやー、非常に言いづらいことなんですが、実はまだ生きてますよ」
「・・・え?」
「ですから、まだ生きていると仰っているんですが。死ぬ寸前で止めてます」
その場にいた希彦を除く全員がカピパラのような顔をした。
「あ、あんなに殴ってたのに?」
「それについてはまた後で話します。で、応急措置しなくてもいいんですか?」
そう言われ、麗香は急いでアリスの応急措置を施した。
一命を取り留めたものの、意識が戻らなかったので神社に置いておく事にした。


Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2016/01/17 (Sun) 21:52:27

今回からタイトル外して話数だけにします。あと短くなります。更新速度上げれたらいいね。

21話
神社の家内。
ボコボコに殴られたアリスを麗香と霊夢、そして魔理沙が介抱していた。
ある程度の応急処置を施した後、様子を見ていた麗香が口を開いた。
「魔理沙、貴方が居てあげなさい。霊夢、行くわよ」
「・・・うん」
そう言い博麗親子は外へ出た。残ったのは、横たわっているアリスとそのそばにいる魔理沙だけ。
しばし、アリスが口が開いた。その声は弱弱しく、か細いものだったが。
「魔理沙、ごめんね・・・。貴方を、だますような真似をして・・・。私、私は、」
「もういい、もういいんだアリス。ゆっくり休んでくれ・・・必ず帰ってくるさ」
そのまま魔理沙は出て行った。その直後、涙をポロポロ零しながらアリスはポツリと呟いた。
「私は貴方のことが、大好きだった・・・!」



外では希彦が麗香と霊夢に尋問されていた。
何故かは知らないが希彦はうっすらと青筋がたっている。
「さっきの発言。説明してもらうわよ」
「説明と言われましても・・・。説明しようがオエエエエエッ!!」
「吐いたーっ!?」
「き、昨日飲んだ酒があぁ・・・っ!オエエエエエッ」
「あ、もしかしたら能力発動しちゃったかも・・・」
「エ~~~ル~~~?」
「ごめんなさああああああい!!」
綺麗に能力が決まったエルを霊夢が追いかける。
希彦はひたすら吐いていた。麗香に介抱されながら吐き続けていた。
「ちょ、ちょっと!なによこれ!アンタ達何やってんの!?」
「おい、霊夢、もういけ・・・なんだこれ」
空から神社を見ていたレオナと、家内から出てきた魔理沙は、この惨状に顔を引きつらせるしかなかった。
「・・・吐くのって気持ち良いものではありませんね」
「そらそーだ」

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2016/03/05 (Sat) 23:06:30

22話

散々吐き続け、希彦はようやく口を開いた。いやある意味開いてはいたが。
自身のことと世界の仕組みのことはぼかしたが、それでも納得はしてもらえたようだった。
「つまり、絶っていう奴がこの異変の黒幕なわけね」
「そうですね、アイツは宇宙一面倒なやつですよ」
「それじゃあ・・・どうしようかしら、何処に行きましょう」
「それでしたら、紅魔館と魔法の森、人里の三箇所あたりが良いかと」
「ああ、なら魔理沙は魔法の森で確定ね。それで私と霊夢は分散させるべきだからー・・・」
そう言うが早いか、麗香は何処から取り出したのか紙にペンで振り分けを考えた。
「よし、出来た!霊夢と希彦は紅魔館。私とエルは人里で、魔理沙とレオナで魔法の森ね」
まさに島風のごとく、麗香は振り分けを終えた。
霊夢は未だに吐きそうになっている希彦の背中をさすりながら、飛び立つ準備をしていた。
「それじゃあ行くわよ。希彦」
「あ、ちょっと待ってください。第二波が・・・」
「袋持っていけばいいでしょうが!」
麗香はエルが起こすであろう能力について頭を抱えていた。いつ発動するかわからないというのは、何時何処で牙を向くかわからない。
「ねえエル。今回ばかりは絶対に能力起こさないで。いい?絶対よ、絶対」
「たぶん起きる気がするよ・・・(う、うん)」
「思っていることと言いたいことが逆だわ」
レオナは黒い空を見やりながらぼやいていた。何故空がこうなると自分が疑われるのか。
「ねぇ魔理沙。空がああなるのって大抵私のせいになるのよ。どうしてかわかる?」
「いやお前前科あるだろ。だからじゃないか?」
「前科って酷いわね、やったことは認めるけども」

様々な思いが交差する中。弾幕少女たちの運命や如何に。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これからしばらくこれぐらいに短くなりそう。それでも私は悪くねぇ!私は悪くねぇ!

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2016/05/21 (Sat) 21:48:32

23話

一番と言わんばかりに、霊夢と希彦は紅魔館に到着した。
紅魔館は半分が瓦礫の山となっていた。
崩れ去った門の下に、紅魔の門番、美鈴がいた。下半身が潰れており、残った上半身をバタつかしている。
駆け寄ってきた霊夢達に気がついたらしい。顔面蒼白であるものの、多少の落ち着きは取り戻したようだ。
「・・・霊夢さん!お願いします、紅魔館を、お嬢様達を助けてください!」
「落ち着いて美鈴。一体何があったの?」
「・・・内部に侵入者が現れました。パッと私の目の前に現れたかと思ったら直に消えて・・・。どうやら妹様の部屋に行ったらしく、直後爆音が・・・。何事かと思ったらこうなっていました・・・。私は落ちてきた瓦礫に挟まれて、この有様です」
「その侵入者がどんなやつかわかる?」
「え、えっと・・・。あの、霊夢さんのお隣にいる、人にすごく似ていたんです」
美鈴の視線が希彦に向く。当の本人は、特に驚きはせず、黙々と周りの瓦礫を片付けている。
霊夢は何か考えこんだのち、美鈴に二枚の札を渡した。
「ま、アイツが黒幕だってわかったらその時はその時よ。はい、これ。雑魚妖怪はこれで来ないはずよ」
「ありがとうございます!どうか、お嬢様達をお願いします!」
「勿論。じゃ、行ってくるわ。希彦、行くわよ!」
そう言うが早いか、霊夢は一目散に瓦礫とかした紅魔館の中に走りこんだ。
「ちょ、霊夢さん待ってください!あ、美鈴さん!お元気で!」
少し遅れて希彦も霊夢の後に続いた。
その二人の後ろ姿を、身体に走りわたる痛みに耐えながら美鈴は眺めていた。
「霊夢さん、希彦さん、どうかご無事で・・・!」
二人の安全を願う言葉を紡ぎながら。



紅魔館、図書館内部。
の地下。
フランドール・スカーレットが収容されている部屋。
そこでは、部屋の主のフランドール、そして咲夜とレミリアが鎬を削っていた。
「咲夜!貴方は先に逃げなさい!フランを止められるのは私とパチェ、それにクロぐらいしかいないわよ!人間が吸血鬼相手に勝てるとでも思っているのかしら!?」
「いいえお嬢様、私なら能力を使用して数秒は時間を稼げます!数秒でも、お嬢様と、パチェリー様、クロが逃げる時間は延長されるはずです!」
「…ええい!こうなりゃ死ぬまで一緒よ、咲夜!」
「はい!この十六夜、死後までお供させていただきます!」
咲夜の返答を聞いたレミリアは、自身の右手に持つ槍をフランドール目掛けて投擲する。
フランドールは大きい動きながらも危なげなく回避する。
そこに咲夜が周囲にナイフを展開する。フランドールは四方八方ナイフに囲まれる形となった。
ガキンッ!ガキンッ!
ナイフが弾かれる音が地下に響く。
フランドールがレーヴァテインによりナイフを焼き弾いているのだ。
「やはり一筋縄ではいきませんか…!」
降り注がれる焼け焦げたナイフの欠片を回避しながら、咲夜は再びナイフを展開する。
先ほどより数は少ない。レーヴァテインが出す火の粉を回避しながら、時止めナイフ回収は中々骨が折れる作業だからだ。
フランドールはまたもや回避。今度は何も使わず、吸血鬼としての身体能力だけでの回避である。
「自分の妹ながら、ほんっとうにしぶといわね!さっさと倒れたほうが身のためよ!?」
そう言いながら、槍の第二投擲を開始する。
命中はしなかったものの、羽に掠った。よし、とレミリアは小さくガッツポーズする。
直後、扉が光った。
紫と赤が混じった、結界が張られる。
レミリアがパチュリーと小悪魔に頼んだ、特別な結界。
それは術者か、それに近しい魔法使いじゃないと解けない結界だった。
効果はシンプルに、対象を必ず通さないというもの。
対象はフランドール。最悪、レミリアと咲夜が死んでもフランドールは外に出れなくなる。
そのためか、レミリアの顔には安堵の表情が浮かんでいた。
後のことをあんまり考えなくて済んだからだろうか。
槍の第三投擲がフランドールの足に命中した。
引き抜こうともがいてる最中、咲夜のナイフが追撃に走る。
吸血鬼の弱点、銀で作られたナイフ。
激痛がフランドールを襲う。槍とナイフの痛みが重なり、さらにフランドールは暴れる。
「咲夜」
「御意」
直後、フランドールの手足が床に縫い付けられた。
これでは暴れることはおろか、動くことさえ難しい。
それを悟ったのか、それとも痛みに耐え切れなくなったのか、フランドールは遂に動かなくなった。
その様子を、姉と従者は何も言わず見ていた。
後ろの死線に気づかぬまま。

Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2016/05/27 (Fri) 22:30:56

24話

「これで…一段落した感じかしら」
「そうだと思います」
「そう…。フランには、悪いことしちゃったわね」
気絶したフランドールの頭を撫でるレミリアを見て、咲夜は、ほっと息を吐いた。
(理由はわかりませんが…、いきなり暴れだした妹様を見て、お嬢様がまた妹様を閉じ込めるのではないかと思っていましたが…どうやら杞憂に終わったようですね)
そう思いながら、咲夜は先ほどの先頭で消耗したナイフの数を数え始めた。
その行為が、彼女の命取りになるとも知らずに。

咲夜の左胸が貫かれるのは、一瞬だった。
正確かつ残酷に、心の像を抉られてた。
カランとナイフが音を立て、咲夜の手から落ちていく。
「あ…れ…」
間の抜けた声。自分に何が起こっているかわからない声。
それを聞いたレミリアの判断は早かった。
直フランドールから咲夜の元へ戻り、傷口を見た。
見ている途中、ピクピクと痙攣して、咲夜は口から血を流した。それっきり動かなくなった。十六夜咲夜は絶命した。
怒りで周りの物を壊そうとしたが、吸血鬼の理性がそれにセーブをかける。
深呼吸をし、改めて咲夜の遺体を確認した。
深く、真紅の槍が刺さっていた。フランドールとの戦闘の際、最初に投げ、外れた槍。
吸血鬼か、それに準ずるレベルの妖怪じゃないと扱いこなせない槍だ。
フランドールは気絶している。
咲夜は人間だ。
レミリア自身何も持っていない。
では、誰が?
「誰だと思う?」
声が、レミリアの耳に届いた。
レミリアは反射的に、声がしたほうに弾幕を仕掛けた。相手に余裕など与えない、密度が高い弾幕である。
命中!命中!命中!
たちまち煙が発生し、視界が遮られた。
「…誰よアンタ」
明らかに敵意を込めた声で、煙の中にいる人物に問いかける。
「初見で人様の服を汚す常識知らずに吸血鬼様にお答えするもんはねぇ」
「人の従者を殺しておいてまあ、そんな台詞を吐けるものね」
「外道だかんな、俺」
煙が消えた。
中から、バーテンダー服を着た、長身黒髪の男が現れた。
勿論、レミリアに見覚えはない。
だが、咲夜を殺したのは十中八九この男だと確信していた。現に、男の手には一本の槍が握られている。これもレミリアが外した一本だ。
「私の大切な咲夜を殺した罪、命だけじゃ払い切れないことはわかってるわよね?」
「あぁ?俺が投げた槍の先に偶々あの女がいたんだろ?」
ブチりと、レミリアの何かが切れた。
「そこまで言う辺り、死にたいようね!」
レミリアは飛翔し、急降下を仕掛ける。
月の都では不発に終わったが、今度はそういかない。
「死んでしまえッ!!」
殺意をたっぷり含んだ叫びで、レミリアは大きく腕を振りかぶった。


Re: マリス砲の小説 - 魔裏奏

2016/07/11 (Mon) 20:08:51

25話

「皮肉なもんだよなぁ、自分が使ってきた武器に自分が殺されるなんてよ」
クククッと笑う男の眼前には、心臓に槍が刺さり床に這っているレミリアがいた。
「お前…、一体、私、に何を…し、た」
「ん?…あ、あー。アレだよ、ここって何かしら能力持ってるやつがいるんだろ?郷に入っては郷に従え。ここでのルールにのっとって俺は能力って言えるほどに引き落とした力を使ったんだよ。
 んで、それ使って、お前の脳の五感をほんの数秒だけ分解した」
「分、解…?」
何を言ってるかわからない、レミリアの目はそう語っていた。
「そのまんまの意味なんだがな…。簡単に言えばお前の五感を分解して距離を誤認させた。OK?」
「…そん、な、芸当…、認め、るわ、けには、いかな、いわよ…!」
「ああそうか。んじゃ、永久におやすみ」
その言葉が紡がれた直後、レミリアの胸に銀のナイフが突き刺さる。
突き刺さった場所から灰になり、数分も経たないうちに灰の山ができた。
気絶しているフランドールにも同じことをし、もう一個の灰山をつくった。
「脆いな、吸血鬼ってのも…。少しは分解し甲斐があると思っていたんだがな」
少し乱れた髪の毛を整えながら、男は煙草を取り出す。
そのまま口に運ぼうとしたが火元を持っていないことに気づき、舌打ちしながら煙草を箱の中に戻した。
「誰か火ぃ持ってないかね…」
「―――そんなに欲しいなら、くれてやりますよ」
瞬間、部屋が燃え始めた。
レミリアとフランドールの成れの果てである灰も、咲夜の遺体も、炎に包まれていく。
「クロさん、少しやり過ぎじゃあ…」
「パチュリー様とこあおねえちゃんの仇です」
入り口の方から零夜とクロがやってくる。
どちらも戦闘体制に入っており、二人共男に攻撃を加えようと思えば加えられる位置にいる。
「あの、中にいる人に忠告しときますとねー、今クロさんすっごい怒っているんでー、手加減出来ない可能性がありますー。…まぁ僕も同じなんですがね」
そう言うと零夜が白杖で炎を吸収し、増幅した炎を放出する。
その間にクロが呪文を詠唱すると、たちまち雷が発生する。
「おいおい、…冗談だろ?」
男は予想外の攻撃に驚き、回避を忘れてしまっていた。
男に攻撃が当たったと同時に、凄まじい爆風が地下室を駆け巡る。
「やっと着いた!って、何よこれ!?」
「ひえー、これはおっそろしいですね」
二人に遅れる形となったが、霊夢と希彦も合流した。
そして、目の前の惨状で全てを察した。
「これは派手にやったわね」
「というか、これ大丈夫なんですか?上の方に響くんじゃないですか、色々と」
「今そういうこと気にしてられませんよ…どうせ僕が9割方片付けをやるんですから」
その言葉に、何処か目が死んだ零夜に合掌する他全員。
この現状では、炎が消えたとしても、炭と瓦礫が残るだけだろう。勿論、その炭にはレミリアや咲夜達の遺灰も混じっているだろうが、零夜はあえてそのことを口に出しはしなかった。祈るのは、この異変が終わってからだと考えていたからだ。
「そういえば、零夜やクロは能力使えるの?」
「僕はかろうじて白杖が使えるって感じですかね。弾幕ごっこと移動に支障がでるぐらいで、それ以外は特に」
「私は魔法の詠唱は出来るんですが、能力は使えないです。魔法の方も、魔力を結構使うやつだと少ししんどいです…」
「ん、それだけでも充分よ。何も出来ないよりはね」
燃え盛る炎、その中心を少し見て霊夢は言った。あの中心にいる男に対しての皮肉なのだろう。
現に男が動いた様子は見られない。全員、火達磨になっている最中か息絶えたかのどちらかだと思っていた。

―――が、その思いを打ち砕く音が、地下室に響き渡った。
バチバチと炎が消えていく。炎の中心だった場所に、男がいた。
服は焼け焦げ、髪もいくらか煤に塗れているが、男自身にダメージはなさそうだった。
そしてその男を見て、希彦はげえっと声を漏らした。
「葵さん!?何時ぞやか死んだはずの葵さんじゃないですか!?何故ここに!?生きておられたのですか!?」
「ああ゛ぁ!?うるせぇぞ糞餓鬼二号機ィ!!あとその他のおまけもうざいんだよ!ブチ殺すぞ青臭い餓鬼共がよぉ!!てめぇらの内臓で鮫釣りでもするかぁ!?量が量だからホオジロザメでも釣れそうだなぁ、おい!」
そこまで言い切ると、葵はレミリアを刺していた槍を拾い上げた。
「餓鬼共動くなよ?今からランダムで一人に腸ぶら下げてもらうからな」
そう言いながら、葵は完全に希彦の腹をセンサーに入れている。ランダムもへったくれもなかった。
「か、完全に私を狙っていますよ!ランダムという言葉を辞書で調べてきてください!辞書で!」
まだ死ぬわけにはいかない(本人談)希彦が必死に説得を試みようとするが、
「グッバイ希彦。アンタは犠牲になるのよ、犠牲の犠牲にね」
「希彦さんとは短いどころか会って間もないんですが、お世話になりました」
「立派なお墓を皆で立てておくのです!」
「という訳だ、じゃあな二号機」
本人を除いた全員が満場一致で希彦が狙われることに賛成していた。
「ちょっと待ってください、葵さんはともかく霊夢さん達は味方のはずですよ」
「仲間って肉盾にするもんなんでしょ?違うの?」
そしてこの外道っぷりである。ここまで来ると寧ろ清清しい。
「てか、余所見してんじゃねぇ!敵の前で漫才繰り広げんじゃねーよ!」
「あの人さらっと自分のこと棚にあげましたよ。最低ですね」
零夜のツッコミを無視して、葵は槍を希彦目掛けて投擲する。
「あぶなっ!」
寸でのところで希彦は回避した。顔面スレスレの所で槍は壁に刺さっている。
「かわしたか、次は当てる」
今度の咲夜のものであろう銀ナイフを希彦に投擲する。
また希彦がかわす。
そしてまた葵が投げる。
かわす。
投げる。
かわす。
投げる。
そのループが二分も続いた。
「ちっっっっっっとも当たらねぇじゃねぇか殺すぞ糞餓鬼コラ!!ちょこまか動きやがってウザイんだよ!」
元から無いような葵の我慢袋がついに切れた。
ナイフもなくなり、投げられるようなものがなくなったことも原因だろうが、一番の原因としては希彦が寸でのところで回避するからだろう。
「だぁー!お前ら覚えとけよ!特にそこの黒髪の優男と紫のガキ!次会った時はお前らから潰してやる!」
「や、優男…」
「紫…」
葵はそこまで言うと、自らの身体を分解し姿を消した。
残るのは、地下室に円満する炎、全体を覆うような煙、所々に空いた穴。
霊夢達は、ここに居るべきではないと判断し引き上げた。
外に出る前、最後尾にいたクロが地下室の結界を解いた。ここにはもう、何も縛られるモノはない。
地下室から出てきた4人を出迎えたのは、瓦礫の山とかした紅魔館と妖精メイドの死体、そしてボロボロになりながらも
下半身が回復した美鈴の姿だった。



葵ちゃんがもの凄いかませポジで笑うしかない今日この頃。

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